群馬出身のロックバンドの20thアルバム(2016年)。
前作より約2年3カ月ぶりで、その間に櫻井敦司らによるTHE MORTALや今井寿・藤井麻輝らによるSCHAFTといったサイドプロジェクトでの活動を挟んでのリリース。SCHAFTの縁からか藤井麻輝や上田剛士といった名うてのアーティストが制作に参加しているものの、特にそれらプロジェクトの延長、あるいは反動といった単純な方向にはあらず。全体的には、時には楽曲を覆い尽くすようなシンセや効果音的なノイズ/装飾の多彩さなどエレクトロ要素の比重が増えつつも、決して無機質な印象が先行することはなく、バンドサウンドの力強さや、人工感と肉体感を併せ持つシンセベースのグルーヴ、楽曲によっては昭和歌謡やラテン/スパニッシュな歌心/風合いとそれに伴うアコースティックサウンドの介入、といった具合でアプローチが混在。それも実験色の強さが前面に出たり特定のジャンル感に強く偏ったりせずごく自然と一体となることで、何でも取り入れて血肉にしてしまうBUCK-TICKの器というものを改めて証明するかのような──というかむしろ一際パワーアップしてしまっているような印象すら受けます。それでいて、アナグラムや見慣れない言語などが目につく曲名、重厚なアートワークなどからも強烈に匂い立つオカルト的な空気感も纏っており、「歌詞のワードの羅列なだけで特に意味はない」というアルバムタイトルが逆説的に放つ奇妙さに倣った不思議な統一感をもたらします。彼らはまぁ言ってみればいつも凄いんだけど、個人的には特に前作あたりから更に音楽的に一段階ステージを上がり、新たな全盛期に突入したのでは?とすら思わされるものがあって。本作についても発売前から目に入る情報すべてにワクワクしっぱなしで、実際に聴いて案の定想像の上を行かれ驚かされたという感触がありました。デビュー30周年を目前に、デビュー当時の古巣・Victorへの復帰作となったこのタイミングで、彼らの“現役感”を強烈に刻み込んだ会心の一作。
今回の更新に合わせ、過去に書いた『殺シノ調ベ This is NOT Greatest Hits』『狂った太陽』の紹介記事の文章を少々見直しているので、よろしければ合わせてご覧ください。
