UK出身、The Bugを始め多方面で活動するミュージシャン/プロデューサー・Kevin Martinと、UK出身、GodfleshやJesu等で活動するJustin Broadrickの2人によるイルビエントプロジェクトの1stアルバム(1991年)。
フリージャズプロジェクト・Godにて邂逅したKevin MartinとJustin Broadrickの2人によって1991年に結成。プロジェクト名の「テクノ」は音楽ジャンルではなく技術的な概念の意とのことで、彼らの発する音楽は「イルビエント」とも分類されています。重層的なダブの音響、ヒップホップ由来のサンプリング、多様なビートプログラミング等を要素としたジャンルとのことで、詳しくはWikipediaをご覧ください。例によって彼らの作品もどれも入手困難なのであまり他作品との比較はできないんですが、本作に限って言えば、ノイズや加工された呻き声のような不気味なサンプリング/音響が層をなし、重金属的なリズムトラックが延々と反復する強迫的かつ拷問的な音楽。後の作品ではもう少しダブの色を濃くしていく(らしい)けど、ここではもっとインダストリアル/ジャンク感が強い。一部ではGod由来と思しきサックスの加工音がまるで分裂する微生物のように入り乱れ、どことなくGodの曲の破壊→再構築のようでもあるし、徹底的に無機質ではありながらもまさにジャケットのような(?)奇妙な生物の息づかいや生態を連想させるような怖さの入り混じる躍動感もあり、個人的に聴く前は難解な音楽かもと身構えていた割には結構入り込めました。Justin BroadrickはGodfleshの活動と相互に影響を与え合ったとも公言しているようです。ちなみにこのプロジェクトは2004年まで活動が続き、最終作はIceの延長とも言える異色のインダストリアルヒップホップのアルバムとなっているけど、それには名義の使い分け等の面で制作上の事情があったのだとか。そして両名は2017年に新たにZonalを結成し、このTechno Animalの精神を受け継いだ活動を展開しています。
Kevin MartinとJustin Broadrickによる他のプロジェクト、GodとIceのアルバムは過去に1枚ずつ紹介記事を書いており、今回を機に文章を少しだけ見直しているので、よろしければ合わせてご覧ください。