MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

KMFDM "Tohuvabohu"

Tohuvabohu

Tohuvabohu

  • アーティスト:KMFDM
  • Metropolis
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 ドイツ出身のインダストリアルバンドの15thアルバム(2007年)。

 

 タイトルは「豆腐ヴァボフ」…ではなくて旧約聖書に出てくるフレーズで、「カオスと完全なる混乱」等の意味を持つ「Tohu va bohu」に由来し、彼らは「ワイルドで混沌とした」という意味合いを込めているようです。そんなわけで割とセールスポイントが分かりやすい。1曲目「Superpower」こそ、ファンから募集した電話メッセージを随所にサンプリングしたり、管楽器をフィーチャーしたファンク色の強い雰囲気がちょっと往年の作風のよう(というか曲名からして過去の名曲「Power」を彷彿とさせる)ではあるけど、そこから中盤まではダンスビートを多用したスピード感が最大の武器に。ミニマル&ファストなビートの上でインパクト大な裏メロが炸裂するタイトル曲「Tohuvabohu」はまさに本作を象徴する勢いそのものだし、超高速ダンスメタル「Saft Und Kraft」も期待に違わぬ攻撃性。この辺、前年のKGCでの活動の反動とかだったら面白いのだけど(笑)、そういった「速さ」「過去と最新のアプローチの混在」の追求が、彼らなりの今回の「混沌」なのでしょう。ただ、前作にもある程度高速な曲はあったし、同郷のニューウェイブグループ・Liaisons Dangereusesのカバー「Los Ninos Del Parque」を境に終盤は(曲の出来ではなく速度的な意味で)やや失速するしで、そこまで大きく印象は変わらないかも。ゲスト含め一作ごとに制作メンバーが変動するのが珍しくない彼らにとって、今回は前作と顔ぶれがほとんど変わらないせいもあるのかな?期待に応えてくれてはいるけど、スリルもツッコミどころも少ないと感じるのは贅沢な聴き方なのか。や、好きなんですけどね。