MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

幻覚アレルギー / PSYCHE:DELIC

PSYCHE:DELIC"

PSYCHE:DELIC

 

 2人組ヴィジュアル系ロックバンドの1stアルバム。

 

 インディーズチャート1位を飾った前ミニアルバムより約2年ぶり、メジャーデビュー作となった1stフルアルバム。初回盤は多数のダッチワイフが浮かび上がる不気味なBOX仕様。商業的にこれからという場面だろうに、この尖り方ひいては売る気の無さは凄い。まぁそれを言ったらバンド名の時点でそうですけども。で、そんな初志貫徹っぷりは音楽面でも相変わらず、というかむしろ加速。前身バンド・かまいたちから激しさだけを抽出し狂気をブレンドしたようなパンキッシュなサウンドが、メタリックな鋭さやハードコアな獰猛さまでも獲得し一点突破。音の迫力も大いに向上しているし、ノイズを散りばめた病的さ、やかましさの演出も際立ちます。そんなサウンドに、薬物の幻覚作用を連想させるような歌詞を本能的に歌うSCEANAのボーカルが乗るだけあって、もうほんとバンド名の面目躍如、説得力も抜群ですわな。バンドのテーマソング的な「SPEEDアレルギー」のリテイクで本作は幕を閉じるけど、前作のものと比較すると違いが一目瞭然!更に「ロマンティスト」等一部の楽曲はもはやインダストリアルの領域だし、かと思いきや、字余り気味の歌と綺麗なコード進行でダイナミックに切ないストーリーを展開していく「ラプソディ」もあったりと、意外な振り幅にも魅せられます。1994年と言うと、ヴィジュアル系ブーム前夜といった時期かなと思うけど、その先駆者的な精神性、また古き良き日本製パンクからの影響、そしてインダストリアル(ロック)にもカテゴライズされる激しさとアングラ感が重なるという意味で、個人的にはとても魅力を感じるものがあります。

 

 

 ↓ついでに前作の紹介記事(11年前…!)も少し加筆修正したので、よろしければ合わせてご覧ください。