I've専属ボーカルユニットの1stアルバム。
既に単独でI'veデビューしていた桐島愛里に、朝見凛と舞崎なみの2人の新人を加えた3名で結成。電波ソング集での直球バラードという謎デビューを果たした後、PCゲーム(インディーズ)→TVアニメ(メジャー)と順調にタイアップシングルをリリースし、初のアルバムが完成。歌や踊りだけでなく、自分たちのライブステージの実作業を伴う制作活動をも行うらしく、そのDIY精神がユニット名やジャケットのツナギ姿に表れているとのこと。狙いがよく分からん。内容はA面B面関係なく本作以前に発表したほぼ全曲を網羅した総決算的なものだけど、ユニットのコンセプト同様に色々詰め込み過ぎて渋滞している感じ。各歌手は単独名義での楽曲を聴く分には割とキャラ立ちしていたけど、本作では提示された楽曲のカラーに沿って忠実に歌うので、1曲ずつ見てもコーラスワークが多少凝っているくらいしか特徴を感じないし、誰が表に浮き出ようと歌い手像が1つに集約しているので、合う曲合わない曲がハッキリと二分。例えばクールなトランス~ハードロッキンなギターが活躍する打ち込みポップ/ロック──いわゆる「ポスト川田まみ」的な──は文句なしだけど、甘めのテクノポップや電波ソングには対応しきれてなさが伝わってきて今一つ。一言で言うと「燃え」は良いけど「萌え」がダメ。そして全体がごちゃっとしてしまい、3人で組む意味が迷子状態。ユニットの形態や方針が実験的であっても、この時点でアルバムを形にするなら明確な強みへもっと的を絞った方が良かったと思います。とはいえ素材は決して悪くないし、I'veの次世代を担う存在として方々からの期待もあったのだけど、発売後しばらくで朝見凛・舞崎なみがI'veを卒業し桐島愛里のソロユニット化。そしてシングル1枚で長らく沈黙を続け、つい先日(2019年7月)I'veとの契約が終了。3人時代はおろかユニットでも最初で最後のアルバムになってしまったとさ。