MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

girugamesh / gravitation

 4人組ロックバンドのミニアルバム(2014年)。

 

 ベスト盤「LIVE BEST」でバンドのディケイドを走り終えた彼らの再スタートを告げるミニアルバム。1つ前の傑作盤「MONSTER」の手応えや、近年のラウドロック勢との対バン等の収穫を足掛かりに、より "激しさ" "重さ" に焦点を合わせて一点突破。二部構成だった「MONSTER」の前半部分──音楽的にも精神的にも吹っ切れ、攻撃性に特化していた部分を更に突き詰めたバンド史上最重量級のサウンドインパクト大で、ヘヴィなリフが繰り出される中に道玄坂下り隊による女性コーラスとシンフォニックなシンセが谺する1曲目「Go ahead」からその印象は強烈。そんな形でメタルコアやポストハードコア(そしてインダストリアルメタル)の影響を昇華しながらも、これまで同様に愚直な日本語詞やJ-Pop的なメロディを大事にするという彼ららしいスタンスを貫き、比率や迫力を増したシャウトに埋もれることなく強みとして一層際立ち、総体としてはあくまでポップ。それが最も顕著なのがリード曲の「gravitation」で、彼らが一段上のステージへ上がったようなスケールアップを感じさせる、新たな代表曲に相応しい一曲。聴かせる曲を下手に混ぜず、攻めの手を緩めない曲だけをミニアルバムならではのサイズ感で一気に聴かせる部分も、本作の位置づけや彼らの決意が表れているよう。もはやヴィジュアル系なんて出自はどこ吹く風で、むしろCrossfaithやSiMなどが好きな人にこそ受けが良さそう。個人的にも「MONSTER」に続くバンドの進化が大いに感じられ、とてもとても好きな作品です。