
- アーティスト: Scraping Foetus Off the Wheel
- 出版社/メーカー: Some Bizarre
- 発売日: 2010/11/22
- メディア: CD
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オーストラリア出身のJG Thirlwellによるインダストリアルプロジェクトの4thアルバム(1985年)。前作に引き続き「Scraping Foetus Off The Wheel」名義。
日本語がドーンと縦断する驚きのジャケット。どうやら彼は親日家らしく、今後もアートワークにこういった日本語がよく顔を出すようになります。そんな本作は、名義が同じだからという訳でもないだろうけど、名作と名高い前作「Hole」とは双璧をなす傑作とされることも多く、「Hole」同様にインダストリアルともニューウェイブともつかない(あるいは混在した)アイデアやバックボーンを本能的に放出するサウンドが圧巻。また、後の彼の主要素の一つとなるクラシックの要素が大幅に導入され、高速ジャンクサウンドにオーケストレーションが乗っかるというスタイルが暴力的ですらあります。そしてピッグダム・カムという架空の王国をテーマにもしているようで、インスト楽曲を含め同一の戦慄的なフレーズが数回登場するなど、コンセプチュアルな作りになっているのも特徴的。乱雑な勢いは「Hole」に軍配が上がるけど、切れ味はこちらが上かも。名作と呼ばれるに相応しい作品です。また、本作中で某クラシック組曲のフレーズが挿入される箇所があり、それを後々PIG (Raymond Watts)がオマージュで再現したことも界隈ではお馴染み。そういったサウンド面や「釘」「豚」などのワード/スラング等、後のインダストリアルロック世代へ与えた影響の大きさが特に汲み取れる一枚でもあります。