MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

KOTOKO / イプシロンの方舟

イプシロンの方舟 <通常盤>

イプシロンの方舟 <通常盤>

 

 I've専属(当時)ボーカリスト/シンガーソングライターの4thアルバム。

 

 タイトルは方舟と書いて「ふね」と読みます。同年にメジャーデビュー5周年を迎え、その時これまで通りのI've内での活動に加え、I've外では小文字の「kotoko」名義としても活動する方針を発表。それと関わりがあるかは分からないけど、本作ではそれまで(ソロ名義では)大部分を自身で担っていた作曲からも距離を置き、ほぼ作詞/歌唱に専念。その結果、4作目にして(1曲を除き)I've作家陣の作編曲/プロデュースによる「I've特化アルバム」に。ただ、後に彼女はI'veから独立する道を選ぶので、名義を分けた意義もうやむやになってしまい、同時にI've在籍時の最後のオリジナルアルバムにもなりました。作風としても、タイトルからは想像がつかないダークさを纏った「リアル鬼ごっこ」(同名の映画の主題歌)や、浮遊感漂うトランス、またそれに準じたダンストラックの存在感が強く、KOTOKOの表現力がI'veの定番とも言える型で存分に生かされています。ラストにはManic Street Preachersのカバーまでも。やや優等生的にまとめられ過ぎている感もあるし、他の収録が見送られたシングル曲を差し置いて入った「ハヤテのごとく!」が少し浮いていなくもないけど、程よいアニソンロック/ダンスポップが楽しめるという点において、彼女のアルバムの中では最も一枚を通した一貫性や安定感があると思います。