Nine Inch Nails / Year Zero

Year Zero

Year Zero

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  US出身のTrent Reznorを中心としたインダストリアルロックバンドの5thアルバム。

 

すっかり寡作の大物というイメージがついていた当時の彼らにしては、約2年振りという比較的速いスピードでのリリースとなった本作。詳しくは知らないけど、終焉した近未来を描くことで(当時の)米国政府を批判するというコンセプトがあり、アルバム以外でも色々な仕掛けを施した一大プロジェクトだった模様。過去を清算したお陰か速やかに伝えたいメッセージがあったからか、いずれにせよ創作意欲に溢れていたのは良いことだと思います。その作風は前作の比較的ストレートなバンド路線を踏襲することなく、全面的に打ち込みのサウンドへ移行。ただし90年代インダストリアルロックへの回帰では全くなく、尖りに尖ったエレクトロニックやノイズを駆使して骨組み重視で構築された新境地といった感じで、巧みを凝らしたリズムトラックやビープな電子音やキリキリと鳴らされるノイズが抑揚をつけながら入り乱れる様は、狂気や暗黒美というよりは純粋な音楽的欲求や実験から生まれたような風通しの良さが感じられます。分かりやすいキャッチーな曲があまり無いことや、全体的にコンピュータ制御されたような無機質な作りは好みを分けそうだけど、根幹の部分はあくまできっちりポップに作られているし、やはり唯一無二の存在感は健在。そしてNine Inch Nailsらしさを失わないまま新しいものを生み出そうとする姿勢は素晴らしいと思います。個人的には結構好き。