ドイツ出身のインダストリアルバンド・Die Kruppsの中心人物・Jürgen Englerが、1997年のDie Kruppsの(一時的な)解散後に結成したグループの1stアルバム。
長いキャリアと高い評価を誇るこの界隈の代表的存在であるDie Kruppsは、ジャーマンニューウェイブからインダストリアルメタルを経て最後は凶悪なスラッシュメタルと化した変遷を持ちますが、そのバンド後期のイメージとはまるで違う音楽性へ。4つ打ちや煌びやかなシンセ/エレクトロニックを中心に置き、ポップなメロディやソウルフルな女性コーラスが華を添えるゴージャスなシンセポップ/エレポップに変貌を遂げています。メタルギターが消失したわけではないけど、曲によって強弱はあれどあくまで効果的な脇役としての収まり方。収録曲「The Final Show」がDie Krupps時代の名曲「Fatherland」のリメイクなので、そこを聴き比べるとその違いがよく分かります。同時代に流行していたクールなフューチャーポップではなく、あくまで彼ららしい暑苦しさだったり、どこかジャーマンニューウェイブ時代まで先祖返りしたようなセルフパロディっぽい遊びが感じられるけど、インダストリアルメタルをある種極めたと言っていい彼らが、バンドをリセットして打った次の一手としてはとても面白いものになっているかなと。むしろ後期Die Kruppsよりこっちが好きだという人もいそう。興味があれば是非とも。