MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

KOTOKO / 羽 -hane-

羽-hane-

羽-hane-

 

 I've専属(当時)ボーカリスト/シンガーソングライターのデビューアルバム。

 

 自主制作盤ディスコグラフィに数えないようなので、これが正式な1st。KOTOKOのメジャーデビュー作品であり、同時にI'veにとっても専属歌手の初のメジャーデビューとなった記念すべき作品。彼女自身が作詞作曲を手がけた楽曲を中心にし、全面的な編曲や一部の作曲でI'veの作家がバックアップするという構成。しかしサウンドとしては、この頃にI've発表曲で少しずつエレキギターを取り入れた(解禁した)曲が増えていた方向性をそのまま継承し、ロックへのアプローチを大きく打ち出した意欲作になっています。ただし楽曲は全体的にシリアスな方向に寄っており、ここまで何度も歌われてきたゲームタイアップ曲に比べるとだいぶ地味。数回目の収録となる初期の重要曲やガールズコンピにも収録の「Lament」といった良曲が存在感を放つ一方で、清廉としたミディアムナンバーや重たいバラードなんかは、味気なく聴こえる上に一曲が長いということもあり、通して聴くと少々退屈な印象。彼女がなまじ何でも高いレベルで器用にこなしてしまうがゆえに、色々と手を出し散漫になることを避けたのかも知れないけど、もう少し煮詰めて欲しかったとも思います。それだけに、彼女がアニメ歌手として大成した後にファンになった人が後追いで聴くとすれば、少し違和感があるかも。しかしインダストリアル音楽やI'veサウンドを一通り通ったような人間からすると、一部の曲はインダストリアルロックとして十分に聴き応えがあります。