MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

MUCC "BEST OF MUCC" "WORST OF MUCC"

BEST OF MUCC(初回限定盤)

BEST OF MUCC(初回限定盤)

  • アーティスト:ムック
  • ユニバーサル シグマ
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 4人組ヴィジュアル系ロックバンドの編集盤(2007年)。

 

 結成10周年を記念した2種の編集盤のうちの一枚で、メジャーデビュー以降から本作リリース時までの全シングル曲に、数曲のアルバム曲を加えたもの。ちなみに当時まだアルバム未収録だった最新シングル2曲も別バージョンで先行的に収録。言ってみればタイトル通り "(表の)ベスト盤" で、彼らのドス黒く重たい世界観を奏でていた最初期と、音楽性を広げポップになっていった昨今とではかなり乖離があるので、その後者を選出し一つにまとめることで、彼らの音楽に初めて触れるような層に訴求あるものとして形作られています。正確にはインディーズ/メジャーという区切りでは単純に分けられないけど(メジャー2ndの「朽木の灯」まではヘヴィなので)、選出されたアルバム曲もパンキッシュな「名も無き夢」「夕紅」や民謡の「優しい歌」など明るめの曲ばかりで、通して聴く分の空気感が重視されたような並びで無難ながらも妥当かと。もちろん彼らの魅力の全てはこれ一作だけではとても伝わらず、起伏のある音楽変遷をより深く楽しむにはアルバム単位で聴くのが望ましいけど、入門用としてであれば今でも価値のある作品。初回限定盤に付属する「ACOUSTIC DISC」には過去の入手困難曲やその再録が6曲収められており、彼らのフォーク/歌謡趣味に触れることができます。

 

 

 

WORST OF MUCC

WORST OF MUCC

  • アーティスト:ムック
  • ユニバーサル
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 4人組ヴィジュアル系ロックバンドの編集盤(2007年)。

 

 結成10周年を記念した2種の編集盤のうちの一枚で、「BEST OF MUCC」と同日リリースされたこちらは、インディーズ時代の楽曲を中心に選出。初期の彼らに特に顕著だった痛々しいほどの世界観や、それを的確に表現する激情の洪水のような重低音という唯一無二の武器/個性をまとう楽曲が目白押し。一部選出されたメジャー以降の楽曲も、作風的に重苦しさ/ヘヴィさの強い楽曲で、全体の統一感を守りつつ作品を底上げ。そして重たい曲ばかりでなく、メロコア風の明るい曲「前へ」や思いきりフォークの「あやとり」「断絶」などもあり、全体を通した聴き応えも抜群。結成から本リリースまでのキャリアの全てを一枚に無理やりまとめるとさすがに滅茶苦茶になるので、「BEST OF MUCC」と対になる作品として明確にコンセプトを分け企画されたものだろうけど、決して "裏ベスト" なんて言葉には収まらない、聴く人が聴けばこちらこそがむしろMUCCにおける "真のベスト盤" と言える内容だと思います。もちろん、ファンにとってはもっと入るべき曲はいくらでもあると言いたくもなるだろうし、できればオリジナルアルバムごとに聴くのがやはりベストではあるだろうけど、今からだと入手が困難だったり面倒だったりする作品も多いので、彼らのコアな魅力を効率よく追いたいのならお勧めの一作。後にリリースされる「カップリング・ワースト」も合わせて聴くとより満足できます。