MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

Chemlab 『Suture』

 アメリカ・ワシントンD.C.出身のインダストリアルロック/EBMデュオのコンピレーションアルバム(2001年)。

 

 “Suture”(縫合)というのは、彼らが一つのアルバム内に何曲か忍ばせている短いインタールード曲のタイトルなので何度も目にすることにもなるし、彼らの好きな単語、あるいはバンドを表すワードみたいなものだと思います。そして今回、ついにアルバム名になっちゃった。ジャケットの人物はメンバーではないはずなので、“Suture”の擬人化といったところじゃないかなと。さてそんな本作は、彼らが活動を止めていた時期にリリースされたもので、幻の?デビューEP『10 Ton Pressure』の内容に、未発表曲やリミックス曲を足してリイシューした1994年作『Magnetic Field Remix』があって、そこにさらにシングル盤のみに収録されたリミックス曲と未発表曲を足した、言わば「フルアルバムだけでは追えない楽曲集・完全版」みたいな作品。リミキサーにはNine Inch NailsやMinistry、Skinny Puppyなどにも関わったシカゴ周辺の人脈や、KMFDMのSascha Konietzkoなど一流どころが参加しているようです。前半のリミックス群は、テンポを落としロック色を薄めたりとややダークエレクトロ寄りになっており、別バージョンとして無難に聴けるといった感じだけど、未発表曲「21st Century」は、荒々しいギターのフィーチャー度が高いEBMでなかなか。『10 Ton~』収録曲は、逆に逞しいボディビートとノイジーな仕掛けが強力なアングラEBM集。「Blunt Force Trauma」のハンマービートがイカス。Sascha Konietzkoによるリミックスは、シンプルなダンスビートとスラッシュギターにて中期KMFDMまんまに塗り替えた手堅い内容。入門には向かないけど、資料的価値は高く、次の一手になら十分にお勧め。