オーストラリア出身のJG Thrilwellによるアヴァンギャルド/インダストリアルプロジェクトの2ndアルバム（1982年）。
正確には前作同様に "You've Got Foetus on Your Breath" 名義でのリリース。前作から1年のスパンで、基本的には環境や方法論なども前作を踏襲しているものの、要所要所にジャズ、ファンク、クラシックなどの要素を新たにミックス。後々の作品まで脈々と受け継がれていくFoetusの代名詞的な音楽性の兆しが伺える作品と言えます。サウンドの質感は相変わらずジャンクでインダストリアル色も強いながらも、そこに躍動するグルーヴが加わったりピアノや管弦楽の音色が響いたりもして、前作よりもポップに受け取れる楽曲も増え幾分聴きやすくもなっています。「J.Q. Murder」や「Mark Of The Ostracizor」なんかはかなり好き。一方では楽曲の流れが途中でいきなり変わったり、サンプリングを多重にコラージュして不気味な仕掛けも盛り込まれたりと、聴き手を自分の世界に引きずり込むような一筋縄ではいかない危うさも据え置きで素晴らしい。ノイズ混じりの衝撃的な勢いのあった前作や、名盤として誉れ高い次作に挟まれていることで立ち位置的にはちょっと地味な印象も拭えないものの、彼のルーツが刻まれた決して無視できない一枚かと。
