MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

Stabbing Westward "Stabbing Westward"

 アメリカ/イリノイ出身のオルタナティブメタル/インダストリアルロックバンドの4thアルバム(2001年)。

 

 レーベルを移籍してリリースされた彼らの最終作。前作──というかそれまでから一転し、エレクトロニック/インダストリアル要素をほぼ完全に消失させ、ナチュラルなバンドサウンドへ転換。そこに響く感傷や切望、果ては希望を具現化した美麗なメロディは過去最高レベルに研ぎ澄まされ、リスナーにバリバリ訴えかけて来ます。これは涙なくして聴けないレベル。ちょっぴりワンパターンではあるものの、それを補って余りあるくらいに素晴らしい。バックの音もオルタナやヘヴィロック等ではなく、新たに導入されたアコギを助走にしつつ、やがて壮大に広がっていく穏やかなサウンドで、あくまでメロディを引き立てる位置に収まっています。まさに等身大という感じで、4作目にしてセルフタイトルを冠したのもそういう理由からじゃないかと推測。ただ、この方向性はあくまでも新しいレーベルが舵をとったもので、バンドとしては不本意な部分も多かったらしく、その辺りの齟齬が原因か本作を最後に解散してしまいました(とはいえ、主要メンバーですぐに違うバンドを始めている)。この変化は賛否両論あったようだし、管理人が影響を受けた過去の2つのCDレビューサイトでは、評価がちょうど真っ二つに分かれていたのを思い出します。んで個人的にはどうかと言うと、楽曲の出来も秀逸ではあるし、ある種彼らの表現の極北だとも思うのだけど、前作がインダストリアルロックとして群を抜いた名作だったことを思うと、やっぱりどこか残念とか寂しいとかでモヤモヤするのも分かるかなという…評価が難しい作品という感じ。よく聴きはしますけどね。