MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

Devin Townsend "Terria"

"Terria

Terria

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 カナダ出身のマルチミュージシャン/プロデューサー・Devin Townsendのソロ通算5作目、Devin Townsend名義での3作目(2001年)。

 

 前作「Physicist」の反動や得た経験など色々な思惑に起因したとのことで、よりパーソナルな作品作りへ素直に取り組んだ結果生まれたアルバム。自らの音楽の重要な一要素であるプログレッシブロックにフォーカスし、お得意の大曲志向を満遍なく全面に打ち出した作品になっています。故郷にインスピレーションを受けたようで、カナダの広大な大地を思わせるようなスケール(そもそも「Canada」という曲もある)、そしてどこか郷愁的な味わいもあり、そこはジャケットのイメージ通り。長い曲は7~9分超えにもなり、トータルタイムも全10曲で72分弱という長尺。更にシームレスに繋がっていくつかの山場を演出するようにも区切られており、アレンジの方向性的にも全体の雰囲気的にもソロの原点である「Ocean Machine: Biomech」の超強化版といった印象も。そしてラストの「Stagnant」(名曲!)へ繋げることによる開放感の演出が本当に素晴らしく感動的。音の厚みは相変わらずな一方で、抑揚の効いた箇所によっては静寂さや繊細さをこれまで以上に感じるし、囁くような落ち着いた歌い方でもポップな聴き心地は失われておらず、流石の完成度。もちろん大きく好みが分かれそうではあるけど、あまりにスローだったり長い作品が得意でない管理人でも、素直に傑作だと思わされた一枚です。