MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

BUCK-TICK 『狂った太陽』

 群馬出身のロックバンドの6thアルバム(1991年)。

 

 本作より、後年の作品まで長らく制作を共にするエンジニア・比留間整が参加。氏の助力もあって、今井寿が以前から思い描いていた音世界を存分に打ち出すことに成功した作品であると自信を見せる通り、サウンドの厚みとバリエーションが一気に拡大。ギターシンセを用いて文字通り変幻自在の音色を駆使したサイバーな質感、あるいはテクノ/エレクトロニックの要素をバンドに持ち込んだり、一方で星野英彦による名バラード「JUPITER」にて12弦ギターを使用したアコースティック色と多層コーラスによる神秘性の絶妙な融合を実現したりと、多彩なアプローチと一皮剥けたソングライティングがとにかく鮮烈。またそんな幅広くもキャラの立った楽曲たちの世界観をこの上なく表現しきる櫻井敦司の見事なボーカルワークと、亡くなった母親に宛てた詞作に代表される作詞の面での表現も明らかに大きな成長を見せており、まさにバンド全体のセンセーショナルな進化が刻み込まれた大傑作と言えます。ここから更なる快進撃を続けていく彼らの起点/基盤にもなっているのが明らかな濃密な内容であり、今日に至るまでの人気や評価の高さも、初期からのリスナーも違和感なく受け入れたであろうストレートなポップさや、後年のファンが遡って聴いても十分に満足できるアイデアフルなサウンドが両立していることで、あらゆる層にリーチし得る懐の広さや奥の深さを有しているからでしょう。彼らの歴史の中ではもちろん、当時のロック史においても注目に値する一枚ではないかと。