MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

BUCK-TICK / TABOO

 5人組ロックバンドの4thアルバム(1989年)。

 

 ロンドンの地での海外レコーディング、外部プロデューサーの起用など、初の試みと大きな環境変化によって制作された作品。よりダークな音楽性を標榜しこれまでの作風の連続性を断つことで、音楽的な転換点を迎えたとされる初期の重要作。オープニングを飾る「ICONOCLASM」が顕著で、歌メロのない英詞を呟くボーカル、反復する不協和音のようなギターリフ、ハンマービートの三位一体で進んでいくという実験性の高さを持ちながら、キャリアを通してライブでも定番の人気曲/代表曲にもなったというポップさを併せ持つ渾身の一曲。全体的にもポストパンク/ゴシックロックからの影響が顕著になり、ドロドロとした暗さを打ち出す楽曲も増加。それまで伸びやかに歌うシーンが多かった櫻井敦司のボーカルもお得意の低音による色気が高まり、詞のテーマも異質なものが増えるなど独特の統一感も形成されつつ、解放感のある大陸的ナンバー「ANGELIC CONVERSATION」やラストを飾る1stシングル曲にして大名曲「JUST ONE MORE KISS」といったポップさ全開の楽曲も要所を締め、全体の完成度を高めています。前作より約7カ月ぶりとこれまた繁忙スケジュールでの制作だったようだけど、それまでのBOØWYフォロワーという評価から脱却すると同時に初のチャート1位を記録し、BUCK-TICKという存在を世間に轟かせることに成功したのは見事という他ないです。