MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

Strapping Young Lad 『Heavy As A Really Heavy Thing』

 カナダ出身のメタル界の鬼才、マルチミュージシャン/プロデューサー・Devin Townsendによるエクストリームメタルプロジェクトの1stアルバム。

 

 Steve Vaiの作品にボーカルで参加したことで注目を浴びながらも、その名声を通した色眼鏡で見られることを避けるために、本名ではなくバンド名義でスタートさせた自身のソロキャリアの記念すべき1作目。何だかやけに重さを強調するかのようなタイトルが目につくけど(しかも邦題は「超怒級怒濤重低爆音」!)、それに恥じない強烈な重低音の塊が叩きつけられるように襲ってきます。自らの音楽を追求するために立ち上げたプロジェクトで、しかもこの1作目は制作の大部分を自身で行ったということもあり、まさに手加減なし。"音の壁" という表現がしっくりくるくらいに強烈。しかしただ考えなしに激しいだけではなく、Devin Townsendの類まれなる歌心もしっかりと生かされているのがポイント。キャッチーな歌メロとまではいかないにしても、演奏と一体化して壮大に世界を広げていく咆哮のようなボーカルもあって気持ちよく聴けるし、機械音っぽいジャンクな効果音、打ち込みの無機質さをあえて強調し反映させた曲、入り組んだ曲展開など、メタルやハードロックだけでなく元々好んでいたというインダストリアルやプログレッシブロックなどの素養も打ち出されています。後の作品群と比べると粗削りにも見えるけど、そこがまた他にない魅力を醸し出していたりも。彼の中では最もインダストリアルメタルに寄った作品とも言えるし、個人的にも大きな衝撃を受けた大好きな一枚。