MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

Ray / Milky Ray

Ray/Milky Ray<通常盤>

Ray/Milky Ray<通常盤>

 

 アニメソング系ボーカリストの2ndアルバム。

 

 I'veが全面的にプロデュースした1作目からきっちり1年ぶりのリリース。今回はシングル2曲をI'veの中沢伴行が手掛け、それ以外は全てI've外の作家によるもの。もともとが専属ではないので、そういう“脱Ive”的な意図の制作も自然な流れだと思います。ただ、I'veほどこってりしたサウンドではないだけで、シンセや打ち込み等を駆使したアイドルポップ/ガールポップという軸に大きな変化はないし、参加した作家の総数も前作比で1人しか違わないので、作品の紹介文で「より多彩なサウンド」等と書いてあったりするのはちょっと大げさじゃないかなと(笑)。いや、それ自体はいいんですけどね。そんな中でもテクノポップの「Magical革命Girl Rainy Ray」やUKハードコア調の「twin portion」なんかは、前作になかったタイプな上に飛び抜けて印象に残り、本作に幅を与えた佳曲と言えます。さすがに前作の金属ぶっ叩きまくってた「Recall」には及ばないけど(あれはおかしい)。それから「ebb and flow」でタイアップのシリアスバラードに台詞を挟んだのもチャレンジングだし、アルバムの頭と終わりを同じ曲「lull」の異なるバージョンで挟んでいるのも、本作ならではの流れって感じでかなり良いですね。そしてライブで映えそうな曲や掛け合いを想定したようなパートが地味に増えているのは、前作以降でのワンマンライブを経た自信や収穫の表れかも。個人的にはどうしても大好きな1作目に軍配が上がるけど、そこで彼女を知った人にとっても期待を裏切らない、初めて聴く人にも聴きやすそうなバランスの良い一枚だと思います。