MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

D'espairsRay / antique

antique

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 4人組ヴィジュアル系ロックバンドの編集盤。

 

 ボーカリスト・HIZUMIの声帯治療による活動休止中にリリースされた作品で、一応ベストアルバムという公称ではあるけど、正確にはカップリング集+α。シングル全14枚のうち、ごく最初期のものやアルバムに収録されたもの等を除いたB面曲を網羅し、かつ(インディーズ)ベスト盤「IMMORTAL」に入りきらなかった貴重曲/人気曲をいくつか収録したもの。全17曲というサービス精神旺盛なボリュームな上にほとんどがアルバム初収録の楽曲になり、編集盤としてはかなり痒い所に手が届きまくっている有り難い作品。約11年間に渡るバンドの歴史を総ざらい…とまでは言わないけど、「IMMORTAL」より幅広い時期に渡って選曲されているし、編集意図が明快だから偏りもなく、バンドの作風の変遷や成長が自然に刻まれていて、結果それが非常に聴き応えのあるものになっています。「ダークと破壊」という自ら掲げたテーマを邁進したアングラ色の強かった時期でも、そこから離脱しながら音楽的に洗練していった後でも、カラーは違えど骨太なサウンドとそこにシンセ/シーケンスを絡めるスタイルというのは共通していて、成田忍や横山和俊といった実績と名のある人物が大きく貢献/影響しているせいか見せ方も抜群に上手い、というのがバンドの強みだったというのが分かるし、それが1枚にギュッと収まっているのも面白い。インダストリアルメタル的に聴ける曲やほとんどlynch.な「DESERT」なんかは個人的にも大好きですね。「IMMORTAL」よりベスト盤してるかも?公称は正しかった!(笑)。ただ、バンドは本作リリースから僅か3カ月後に、HIZUMIの回復が見込まれないという理由で正式に解散。まだまだ先が楽しみだっただけに、本当に残念でした。