MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

girugamesh / 鵺 -chimera-

 4人組ロックバンドのミニアルバム(2016年)。

 

 前作「gravitation」から1年4カ月ぶりの、同じくミニアルバムでのリリース。タイトルはあらゆる動物のパーツを持つ怪物の名称で、それを自分たちの音楽や立ち位置になぞらえるという何ともクリティカルな表現。ヴィジュアル系ともラウド系ともとれるし、同時にそのどちらでもないという自負や信念がこれでもかと詰め込まれており、名は体を表すを地で行く、まさにギルガメッシュとしか言いようがない楽曲の応酬。スクラッチやスラップベースをアクセントに軽快に聴かせる「slip out」、ダブステップやシンセの要素を強めた「wither mind」、ガバ風の高速ビートとポップ期のようなメロディが印象的な「Horizon」と、メタルコアに振り切った前作の重さや激しさを継承しつつも、元より得意としていた武器も加え、バンドの集大成のようなスタイルを見せています。しかし、歌詞に関しては未来へ向かうポジティブさを感じさせた前作とは一転、諦め・皮肉・コンプレックスのようなネガティブが炸裂。タイトル曲「鵺 -chimera-」では攻撃的なリフ/シャウトに合わせ自らを強く貶め、ラストの「END」に至っては物悲しくアコギが響くヘヴィサウンドで絶望を訴えながら散っていく、と特に強烈。活動の幅を広げていく中で得た収穫だけでなく、躓きや苦悩もストレートに反映させたかのような重苦しさのある、精神的にもヘヴィな作品となっています(だからこそ、最後のリミックスは要らなかった…)。そして、歌詞の顛末を体現するかのように、本作から半年も経たないうちに解散を発表。彼らの強みが生かされた抜群に格好いい作品だっただけに、非常に残念でした。