MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

SCHWEIN / SCHWEINSTEIN

Schweinstein

Schweinstein

 

 BUCK-TICK櫻井敦司今井寿、PIGのRaymond Watts、KMFDMのSascha Konietzkoによるプロジェクトバンドのアルバム。

  

 PIGことRaymond WattsはKMFDMの初期メンバーでもあるし、90年代中盤~後半ごろにはそれぞれお互いの音源制作にちょっとずつ関わることもあったりと、何かと縁のあったインダストリアルな3アーティストの中心メンバーにより結成されたプロジェクト。日・英・独の才能が集結ということでそりゃあもう夢が膨らむわけですよ。しかし、出来上がったものはその実恐ろしく地味!センス良く組み込まれるメタリックなギターリフ、小気味よいリズムトラック、巧みなエレクトロ/ノイズを駆使した楽曲はキャリアに根差した流石の安定感があるのだけど、既視感があるというか持ち寄った各々の特徴を掴んでいる分だけ想像以上の驚きもなく、根底にあると思われる官能・本能・醜さのようなテーマのせいか、どうもねっとりしたテンポ感や暗めのムードが先立つ。ボーカルにしても、Raymond Wattsはいつもの潰れたような唸り声だし、櫻井敦司も時折表情を変えつつも、基本はウィスパー~ローボイスで応戦するので、楽曲の華の無さに拍車を掛ける。つまり、遅い・暗い・低いと見事に三拍子揃っているのである。うーむ。決して出来が悪いわけではないのだけど、ちょっと肩透かし。120点を期待したら75点だった、みたいな。こういう楽曲がスパイス程度に挟まれるなら逆にニヤニヤするんだろうけど、まるっと1枚だとキツイ。勝手なモンですね。とは言え、この手のジャンル又は構成メンバーが好きなら一度は聴いておくべきアルバムだとは思います。ボーナストラックの「My Sanctuary」(PIGの代表曲のSCHWEIN版、当時車のCMで流れたとか)は、櫻井敦司の声が重なるサビが鳥肌モノ。あとはBUCK-TICKの中でも「97BT99」が大好きだという(アレな)人(管理人含む)にも(オイ)お勧め!色んな意味で、もう二度とないでしょうこんなの。