MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

詩月カオリ / GOING ON

GOING ON

GOING ON

 

 I've専属(当時)ボーカリスト/シンガーソングライターのミニアルバム2作目。

 

 前作より約4年半ぶりとなるミニアルバム2作目であり、本作をもってI'veから卒業となった彼女のI'veラストアイテム。彼女がI'veで担当した楽曲やリリース作品は、他の面々に比べると控えめではあるけど、それでもベスト盤を作れるくらいの量は十分。しかし、彼女自身が書いた楽曲のみで構成された作品は(メジャーでは)初めてだし、シンガーソングライターの出発点とも言える新作でI'veの活動に幕を下ろすというのも、一種の決意の表れだったり、卒業後の活動に繋ぐためのI'veの後押しっぽくて、それはそれで良い収まり方かも。内容もシンセ/デジタルポップでは一切ない生音/アコースティック系アレンジだし、彼女が本来やりたいことを具現化したものなのでしょう。歌詞においても、出会いと別れ、未来への決意や希望などがストレートに綴られ、それを歌う「静かなる強さ」とでも言うべき彼女のボーカルを聴くと、(役割的に)可愛げの強い楽曲が先行しがちだった昔を思うと「立派に成長したなぁ…」と感慨にふけること間違いなし(えっ)。ただ、過ぎ去った過去に対し少しネガティブな言い回しが多いような気もするので、まさか電波ソング歌うのそんなに嫌だったの?とか深読みしてしまいます(笑)。スパニッシュギターをフィーチャーした「セツナ」は風変りで印象的だし、パーカッシブな名演が光る「GOING ON ~光へ~」も彼女の集大成のような名曲。もっと色んな曲を歌いI'veで活躍するところも見てみたかったし、今後の彼女にも期待を寄せてしまう、そんな一枚。