lynch. TOUR’18 「Xlll -THE BEAUTIFUL NIGHTMARES-」

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出典:lynch. official web site http://pc.lynch.jp/

 

 誓い交わした あの場所へ──

 

 はい、というわけで。あとは11/4のTOKYO DOME CITY HALLでのファイナルを残すのみとなった、lynch.の全国ツアー「Xlll -THE BEAUTIFUL NIGHTMARES-」に参戦してまいりました。地方の田舎町で引きこもりがちな生活を送っている人間のライブ参戦記再び。

 

 初めにバンドについて知らない方に軽くご紹介。lynch.は愛知県出身のロックバンド。2004年に結成され、2010年に現在の編成になり、2011年にメジャーデビュー。近年では幕張メッセでのワンマンライブを成功させ、LUNATIC FEST. 2018への出演を果たし、他ジャンルとの対バンイベントなどにも多数参加するなど、精力的なライブ活動を軸にしながら現在進行形で人気を拡大しているバンド。一応ヴィジュアル系シーン出身と言えるのだけど、ヴィジュアル系にもラウド系にも否定をしない一方で安易に属さないとするスタンス、その枠にとらわれない音楽性を武器に、「化粧をしている激しいバンドで一番を目指している」と公言しています。 

 

 そんな彼らが今年、「結成13年目」「13作目(EP含め)」「13曲入り」のアルバム「Xlll」をリリースし、それを引っ提げた全国ツアーを敢行。管理人はこれまで特にブログやTwitterではほとんど触れてないつもりだけど、彼らは実はこの世で一番好きなバンドだったりするのです。今回こうして幸運にも観る機会に恵まれ、もう嬉しいったらありゃしない。わーい。なのでその思い出というか、見たまま感じたままを簡単に記しておこうと思います。 

 

 ※記憶が怪しい部分はうっすら補完したり省略したりしています

 会場のライブハウスは小さめなので満員状態。男性客の比率は多分1割強~2割弱くらい。自分は後方で観たんですが、ステージはそんなに遠くなく、メンバーの表情もはっきり分かる距離。観客はラフな格好もそうでない人もほとんどが真っ黒な服装。ジャンル以前にlynch.そのものが=黒をテーマにしているようなものだし、まぁそりゃそうだよな、と白シャツを着ていたことを少し後悔。

 「INTRODUCTION」が流れる中、いよいよメンバー登場!「Xlll」のアーティスト写真と比較すると、悠介さん(下手ギター)が前髪を作り軽いパーマと結構違う出で立ち。晁直さん(ドラム)は自分の位置からはあまり見えなかったのが少し残念だけど、演奏も含めて存在感は十分すぎたほど。玲央さん(上手ギター)は何から何までそのまんま。髪を少し切った明徳さん(ベース、以下:AK)のムードメーカーっぷりが早くも伝わり、生で観る葉月さん(ボーカル)はやはりとんでもなく格好いい!そしてライブ映像で何十回も繰り返し観てきた定番の挨拶「lynch.ですヨロシクお願いシマァス!」を生で聴けたことに感激。これだけでご飯3杯いけます。

 ライブは「Xlll」と同じ「THIRTEEN」でスタート。曲の開始と同時にシンクロしていく13からのカウントダウン→「Are you ready? Go!」でライブの幕が切って落とされる。攻撃的なリフもブレイクダウンのように叩きつけるパートもない、ただただシンプルに今のバンドのモードを歌い上げるこの曲。しかしそれを衒いもなく初っ端から放つ自信が非常に頼もしく、もはや数千人規模のライブを一気に掌握するまでになったバンドの実力を肌で感じさせられます。 「Come on follow me!」

 続く「EXIST」は、ダンサブルな鬼の4ビートのリフ、流れるようなサビ、激しい間奏の転調と目まぐるしい流れに一気にボルテージが上昇。葉月さんは曲の途中で上着を脱ぎ、両腕のタトゥーを露わにしながら真っ直ぐ前を見て歌い、叫ぶ。すぐさまヒステリックなリードギターが響き渡る「GROTESUQUE」へ。彼らが今までに積み重ねて来た「ヴィジュアル系の矜持」を最新型のサウンドで昇華した淫欲の歌に会場は興奮状態。ラウドにも周辺のヴィジュアル系にも真似できない、自分たちにしか表現できないと自負する曲なだけあります。まさに唯一無二。

 …正直この辺りまでの序盤戦は、初めて生で観るlynch.にただただ感動する感情の方が先走っていて、ライブを楽しむというよりは涙を堪えるばかりという(えっ)。ようやく少し落ち着いてきた矢先、葉月さんが例のスカルステッキを持ち出し「Xlll」のリード曲「JØKER」へ。ファストで極悪ヘヴィなシャッフルビートで、会場が即席のサーカス場に。間奏のMarilyn Mansonオマージュなフレーズに載せた掛け合いが熱い。エールの交換を済ませ、最後は葉月さんがステッキにキス。そして最新シングル曲でありバンドの原点の凶暴性を刻んだ「CREATURE」。全編フックと言っても過言ではない展開の連続が、もの凄くライブ映えする曲だなというのを実感。曲の中間のスラップベースでAKが待ってましたと言わんばかりにお立ち台へ。入れ替わるように後ろについた悠介さんは、珍しく頭を激しく振りながら演奏。「王道」を往く曲のパワーの凄まじさたるや。

 そしてライブは、1つ前のフルアルバム「AVANTGARDE」からの楽曲を連発するブロックに入り前半の盛り上がりのピークへ。それまで以上に簡素なリフ・衝動的な勢い・ライブでの爆発力を意識したというアルバムだっただけに、ここは本当に盛り上がった!髪を振り乱しまくりながら歌う葉月さんに負けじと、観客も今日イチのコール&レスポンスの応酬で応える。CDやライブ映像でもその迫力は感じていたけど、実際のライブを体験してその破壊力に驚嘆。というかここに限ったことではないけど、この会場は彼らのライブが定期的に行われるような場所では決してないのに、大部分の観客の動きがもの凄く洗練されているのはちょっと驚きでした。予習や遠征などでコアなファンが集まってるのかな。なので自分もついていこうと頑張ったけど、早くも腕が痛い。

 激しい曲ラッシュが終わると、暗転して葉月さんが後ろを向き、「Xlll」中盤にもある「RENATUS」「AMBLE」「SENSE OF EMPTINESS」と歌モノが続く流れに。ここは、それまでカラフルに点滅したりと派手に演出していたライトも、青系を基調にしたシンプルなものに。ほんの少しだけステージ上が靄がかっていたこともあり、何とも雰囲気がある。光の加減もあって悠介さんの美しさが際立つ。演奏に集中するメンバーと、静かにリズムを取りながら聴き入る観客だけの空間。各曲の間は一切の歓声のない静寂。「SENSE OF EMPTINESS」の曲間ではCDになかったシャウトが入り切なさ倍増。激しい曲でもこういった曲でも同じように観客を魅了するのがlynch.の強みだと改めて実感。 

 ここで再び空気感が一変。そして、葉月さんが前に来たい人に道を空けてと呼びかける。すなわちここから後半の暴れ曲ラッシュが始まるということでもあり、「ようこそ処刑台へ!」と宣告され放たれたのは「GALLOWS」!個人的に彼らの中でも1、2を争うくらい好きな曲で、生で聴けたのが本当に嬉しかった。AKのシャウトに重ねる観客の掛け合いも完璧で(自分もここぞとばかりにめっちゃ頑張った)、かつあちこちでヘドバンの嵐。 ステージに一切視線を向けることなく髪を振り乱すバンギャルさんたちにライブに懸ける根性を見た。

 ここで更なる加速。葉月さんが「on Bass、明徳!」とAKの名前を呼び、必殺のスラップベースから始まる「INVADER」がスタート。超スピードのパンキッシュな暴れ曲に食らいついていく観客。ここの盛り上がりは後半のピーク。サビ最後のキメ「公害!公開SEX」での一斉ジャンプが凄く気持ち良かったけど、そこでXジャンプをしてた人が数人いたのはちょっと笑ってしまった。元々凄く短い曲なので、終わったと見せかけてまた始まる、というライブならではの流れも最高。

 ここからは「Xlll」後半のヘヴィな楽曲の連続。「FAITH」は古き良きヴィジュアル系ダークソングへの強烈なオマージュを炸裂させた曲なだけに、ライブ会場を一気にドス黒い狂気が支配。鋭い眼光で歌う葉月さん。観客もコール&レスポンスで応じるけど、ノるというよりは圧倒されないために戦っているような感じ。終わると間髪入れずに機械的なシーケンスのループが鳴り響き、lynch.流インダストリアル「OBVIOUS」へ。叫び倒す殺傷力の高いパートと、一気に解放感を伴うサビが一体化した曲で、その対比は前評判通りにライブ向けでとても良かった。この辺の曲は特に若いファンがどう思うか楽しみだとメンバーが語っていたけど、ライブでどういう手応えを得たのか気になるところ。

 そして長めの煽りMCが入り、ライブでは古くから定番の「pulse_」キター!。メンバーが観客に背を向けドラムの前に集まるというこれも定番の動きの中、真っ赤なライトに照らされ演奏開始。もともと歌詞もあってないような曲だからか、MCの流れのような(恐らくはその土地そのライブならではの)アドリブであろう挑発で進行し、メンバーが真ん中に集まり演奏しながら観客を煽り、サビでは会場全員が大きく縦に揺れる。まるで生き物のようで凄い絵面。この曲、演奏前は葉月さんの「○○(会場名)、ヤラしてくんねェか!」→シャウト「SEXしようぜー!」→「イタダキマス!」で始まり、Aメロでは観客による「ヤリたいヤリたい!」の連呼で応え、曲中では玲央さんが自らのギターのネックを舐める仕草をしたり、悠介さんもネックを上下にさすったりするパフォーマンスもあり、演奏後は葉月さんの「ご馳走サン!」で締めるなど、全体的に卑猥なお約束で固められてる曲なんですが…改めて字にしてそれだけ読むとなかなか酷い(笑)。でもライブ映像でよく見てきたこれに参加できたというだけでも嬉しかった。待ってました感というか。曲自体は短いけどかなりカオスで楽しい時間でした。

 いよいよライブも終盤を迎え、ラストのような小MCから「FIVE」がスタート。アルバムでは真ん中だけどライブでは終盤に位置したこの曲は、(AKの脱退→復活劇を経て)lynch.は5人であるという再確認と再出発のような意志が込められており、丸裸の一つ一つのパートが次第に重なり、1つの音を形成していく流れを持つ曲。ライブだとそんなシンプルな曲の成り立ちと歌詞が一番ダイレクトに響き、CDの2億倍感動しますね。涙を堪えるのも本日3回目くらい(泣きすぎ)。

 本編ラストはCDと同じく、バンド史上初の悠介さん作詞作曲「A FOOL」。FIVEで大団円を迎えつつも、まったく別の幻想的な空気に侵食されていく会場。翳りのあるリフレインに続き、溜め気味に聴こえる独特のサビメロを、葉月さんが音源よりも更に溜め気味に歌っていたのが印象的。渋い!終盤、バンド演奏部分が終わり切る前に悠介さんがギターをスタッフに預けてたのが見えて、ん?何だ?と思って見ていたら、ピアノだけになって儚く終わっていく曲の最後の部分で、そのピアノに合わせて悠介さんが華麗に舞い始める。え!何だこれ!他の場所でのセットリストは少しチェックしていたけど、具体的なレポ等は見ておらず、ほぼ前情報なし状態だったので驚いた。異質な曲の世界観と、悠介さん自身の妖艶さに予想外に引き込まれ、そんな不思議な悠介ワールドの余韻を残したエンディングで本編終了。…かと思ったら、メンバーがはけるときに、最後の晁直さんがドラムと壁の隙間から出れずに数秒間引っかかってしまい、笑いを誘って会場の空気を上書き(笑)。普段からゆるゆるな晁直さんらしいというか。

 アンコールに応えてくれるメンバー。MCではこの会場で初めてライブを行ったときの逸話やそこに関係するバンドの苦労と歴史が葉月さんと玲央さんから(AKいじりを交えつつ)語られ、思い出に浸りながらも、今回のライブの成功っぷりを皆で祝います。そして今回各地のアンコールの煽り役を決めているらしいサイコロの目もAKになり、偶然にもアンコール演目もAK考案とのことで、何かとAKづくし。そんな彼も、MCの流れを汲んだ今日この日この地ならではの煽りで観客を焚きつけつつも、そのいっぱいいっぱいさや微妙にツッコミどころのある言い回しをすかさず葉月さんから指摘され、結局お笑いムードでのアンコール(笑)。このリラックスした空気感もこの2人ならではという感じ。でも地元民としては、その気持ちがとても嬉しかった。

 そしてライブはラストスパート。インディーズ初期のコアでヘヴィなダンスロック曲では、弦楽器隊が定位置から動き入り乱れ、葉月さんも頭を振りまくり、観客も振りまくり跳びまくりの大運動会状態。そしてメジャー以降の代表的なメタルコア曲では、ステージ上のライトが全開になり、眩いくらいの明るさの中で葉月さんが今日一番の笑顔で歌い、観客にも「歌って!」とマイクを差し出し会場中で合唱。感動的ですらあった光景。自分ももう最後だからと思って、このアンコールではより吹っ切れて応戦。悔いを残さない!メンバーがピックやペットボトルを観客に投げ入れ、 ライブは終了。ダブルアンコールを求める声も結構大きかったんだけど実現せず。少し残念。

 

 あまりにも好きなバンドなので、贔屓目なしに見るというのは不可能なんだけど、どこをどう考えても最高だったとしか言いようのないライブでした。これだけ人を惹きつけ、聴かせ、盛り上げるライブをサラッとやってのけるバンドの逞しさを実感。MCのみならず演奏にもパフォーマンスにも、各人のキャラクターが想像以上に出ていて凄く良かった。それだけに2016年末にAKが逮捕・バンド脱退となったときは本当に残念だったし、その逆境を逆にチャンスにすべく奮闘するバンドを頼もしく思い応援した反面、不安が拭えなかったのも事実。しかし「音はどうにでもなるけど、人はどうにもならない」という結論のもと、苦難の末にAKの早期の復帰を実現させたことは、個人的にはとても肯定的に受け止めていたし、ライブを体感して、やはりAKの代わりはいない、このバンドに必要な存在だということを確信とすることができました。5人に戻ってからの最初のオリジナルアルバムの全国ツアーに参戦できたことをとても嬉しく思うし、これからも夢を追い続けて頑張ってほしい。そして願わくば、またこの地でライブをしてほしい…!と、ライブの翌日、右腕と腰の痛みに襲われながらも思ったのでした(齢)。