MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

harshrealm / [a beautiful game/prologue for films]

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 FINNを中心としたエレクトロニック/インダストリアルプロジェクトのUSBシングル(2011年)。

 

 未発表の新曲「a beautiful game」と、映画へ提供したサウンドトラックの2種をパッケージしたUSBメモリ限定作品。前者は「インダストリアル回帰」を謳った楽曲で、2009年にはライブで披露されていたらしく、その頃──ダンス/エレクトロニック系へ移行する前の作風の延長を感じさせます。等間隔で鳴り響く前奏/後奏の金属音や、複雑なリズムパターン、珍しくゴリゴリに迫りくるヘヴィなギターリフの応酬がインパクト大で、なるほどライブ感に溢れた過去最高にアグレッシブな楽曲。もちろんテクノロジーの魅せ場も大小問わず全編に存在し、その均衡のとれたサウンドの完成度やTim Sköldを思わせるさりげなくもメランコリックな展開と歌メロは、さながらMDFMK(KMFDMではなく)のようで文句なしに格好いい。個人的には彼らの中でも1、2を争うほど好きな曲だし、日本のインダストリアルロックとして見ても名曲に指定したい。しかし他のCDへの収録や配信は一切行われておらず、何本限定生産か知らないけど現在入手不可能のこのUSBでしか聴けないという。このまま存在が忘れられてしまうのは非常に惜しい一曲なのであります(2015年には現体制によるリメイク版が配信されたけど、原曲の荒々しさやバンド感は消失)。「prologue for films」の方はピアノの独奏の全16曲。こちらは特に何てことはないけど(えっ)、余韻を大切にした物静かなサウンドが心地よいです。