MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

Conjure One / Conjure One

Conjure One

Conjure One

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 Front Line Assemblyなどで活躍するプロデューサー・Rhys Fulberによるエレクトロニカ/アンビエントプロジェクトの1stアルバム(2002年)。

 

 Rhys FulberがFront Line AssemblyやDeleriumを離脱した1997年頃に彼のソロプロジェクトとして立ち上がったところから始まり、2003年にそれぞれのユニットに復帰してから現在に至るまでも活動は継続しています。その内容は、複数の女性ボーカリストをゲストに迎えた上質なトリップホップ/アンビエントポップという、彼が脱退する直前のDeleriumをそのまま踏襲するような体制と音楽性。完成度含め雰囲気がかなり近いので、パッと聴きだとあまり違いを感じられないほど。しかしよくよく聴くと、こちらの方がよりエスニック方面に傾倒している印象を受けます。伸びやかなシンセ/ストリングスから紡がれる神秘的なスケール、ピアノ/民族楽器/アラビア語のコーラスの映えるアレンジなどが非常に洗練されており、それも必要以上に長尺/複雑にならない範囲できっちりまとめられ、全体を通して味わい深く、かつ軽やかに聴き入ることができます。本当にジャケットのように異国──中東あたりの乾いた情景が浮かぶよう。当然というか、牽引力の高いボーカルを大きくフィーチャーした楽曲も素晴らしく、特に本作随一のキラーチューン「Manic Star」やそこに至るまでの流れは格別だし、また「Manic Star」のリプライズ曲で余韻を残しながら締めくくられる終わり方も痺れます。単純に「ポップになった」の一言で済ませるのはちょっと違うかもだけど、その隙の無さゆえにやや重たくも感じるDeleriumと比較すると、個人的にはこちらの方が馴染みやすかったです。