MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

Skold / Anomie

Anomie

Anomie

  • アーティスト:Skold
  • Metropolis
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 スウェーデン出身のインダストリアルロックシーンのマルチミュージシャン/プロデューサー・Tim Skoldによるソロプロジェクトの2ndアルバム(2011年)。

 

 1stアルバム以降、KMFDMやMarilyn Mansonへの加入など多方面で活躍していたこともあり、ソロとしては何と約15年ぶりとなった2作目。その間にも新作の制作を進めていた時期もあったけど、楽曲の流出により中止になり、全く別の新作に取りかかるまでの時間を要したのもありこれほどの期間が空いたのだとか。どういう形であれ待ち望んでいた人にとっては嬉しさ以上に驚きもあったことかと(経験談)。しかしその間もインダストリアルロック界隈のトップクラスのバンドで中心を担う活躍を続けていたため、放たれるサウンドは熟練そのものと言ってもいい仕事ぶり。Marilyn Mansonのお株を奪うようなシャッフルナンバーやスラッシーなギターリフとブラストビートの直球インダストリアルメタル、アグロテックやミニマルなエレクトロダンスなど楽曲のタイプはやはり多彩だけど、全体的には彼のMarilyn Mansonでの最後のプロデュース作「Eat Me, Drink Me」を彷彿とさせるブルージーでアンニュイなギターアンサンブル、またそれに伴うバンド感の表出というのが印象的で、1作目と比較するとよりゴシック/オルタナティブロック的な質感を強め、一つトーンを落とした陰鬱さや渋さのような魅力が押し出される格好になっています。スローな曲が多めなところは好みが分かれそうだけど、それでも積年のキャリアとアイデンティティが炸裂した、新たな名刺代わりに相応しい傑作と言えます。