MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

PIG / Genuine American Monster

Genuine American Monster

Genuine American Monster

 

 UK出身のRaymond Wattsによるインダストリアルプロジェクトの6thアルバム。

 

 前作に続き、KMFDMの元ギタリスト・Günter Schulzを招き制作。その特徴的なギターリフをガンガンに効かせたクールなインダストリアルメタルあり、サンプリングやエレクトロニックを全力で取り込んだメカニカルなロックあり、初期の彼を思わせるラテン/ビッグバンド風の曲あり、4thアルバム「Sinsation」のカラーを彷彿とさせるアンビエント曲あり、はたまた全日本語詞(!)の変則的バラードあり…と、ここまで(主に「The Swining」以降)の彼が繰り出して来た音楽的な要素や変遷を軽く総ざらいしたかのような性格のアルバムになっています。こうなって来ると確かに一見豪華だけど、しかしそれが逆に一つの作品としてトータルで受け取ったときに、過去の作品群と比べて突出したものを感じさせない要因になっている面も否めないのが少し残念かも。格好いい曲は格好いいけど、全体としては思ったほどではないというか…曲がやや弱いというか地味なのはあるかも。しかし、彼の出自やキャリアを表すような高い音楽性と才能、そしていわゆるアメリカ型インダストリアルに接近しても決してブレなかったオリジナリティを示した一作で、中期以降の彼の音楽が好きならば迷わず聴いて良いかと。ラスト曲「Inside」で14分に渡るアンビエントのエンディングを披露し、もはや「やりきった」のか、ここからしばらくリリースペースも落ちるし。ちなみに本作は1999年に日本のみで発売された後、2002年にUSのMetropolis Recordsより再リリースされています。