MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

島みやえい子 / ULYSSES

ULYSSES

ULYSSES

 

 I've専属(当時)ボーカリスト/シンガーソングライターのメジャーデビューアルバム。本作よりそれまでの「島宮えい子」名義から「島みやえい子」名義に変更。

 

 インスト1曲を含む全9曲のミニアルバム。その楽曲の全てを本人が手がけており、I'veのクリエイターを中心とした布陣が編曲を担当。先陣を切ったKOTOKOとほぼ同じ形式ではあるものの、えい子先生の場合はI'veデビュー時から確固たる実力と風格を持ち合わせていただけに、その完成度は初っ端から異様なまでに高いです。インディーズ作品で明確に示したヒーリング音楽のような独特な空気感をまといつつ(そしてそのリード曲を再収録しつつ)、時に重厚なエレクトロビートや大胆な四つ打ちを用いたインダストリアル/トランスへのアプローチへ手を伸ばし、I'veらしい華々しさや硬質さも体現。一方で、芸術的なコーラスワークや流麗なアレンジを武器にしたニューエイジ風/アンビエントポップなバラード曲もより深化。聴いていてため息が出るほど。えい子先生自身の能力の高さが前提にあるとはいえ、アルバムのバリエーションや流れも非常にうまくかみ合っていて、総体としてこの時点での「I'veの島みやえい子」の持ちうる世界観を存分に具現化しています。ちょっとこれは別格ですね。ただ、出自がこうとはいえアニソン然とした音楽では全くないので、そういった作風を純粋に求める人には合わないかも。