MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

The Devin Townsend Band "Synchestra"

Synchestra

Synchestra

Amazon

 カナダ出身のヘヴィメタルシーンのマルチミュージシャン/プロデューサー・Devin Townsendによるソロ通算8作目、The Devin Townsend Band名義での2作目(2006年)。

 

 もともとは、前年リリースのStrapping Young Lad「Alien」 と何かしら関連があったのか「Human」というタイトルで制作が進められるも、現在のタイトルに落ち着いたという一作。弾き語り風の穏やかな始まりから少しずつスケールを増していく1曲目、そこからシームレスに繋がり世界観を作り上げ最初のクライマックスへ向かうニコイチな2曲目と、過去作で例えるなら「Terria」のような雄大さや展開美を思わせる幕開けながらも、それ以上に幅広いアプローチを交えて進行。所々でアコギの音色をフィーチャーしたり、勇壮な歌を聴かせる大曲「Triumph」の間奏中に一瞬カントリー調に切り替わったり、文字通りポルカの小品「Vampolka」から同じリフを使用した「Vampira」に繋げたりと、特に前半はフォーク/民族音楽の要素を絡めるなど過去に例のないユニークさに富んでいます。それでいて根本にあるのはどこまで行っても彼らしい王道と長年の経験を注ぎ込んだ持ち味そのものであり、その辺りの兼ね合いの鮮やかさは素晴らしいの一言。後半はシリアスな大曲が連続したり、またそもそもトータル曲数が(彼にしては)多めという点で少々重く感じる面もあるけど、それでも折り紙付きの完成度と言える作品。この後、彼が音楽活動を一時休止し、2009年に再開するときにはプロジェクトを一新することもあり、この名義での活動/リリースは本作をもって終了となったようです。