MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

SOFT BALLET / FORM

FORM

FORM

 

 3人組ニューウェイブ/エレクトロニックユニットの6thアルバム。

 

 1995年7月の活動休止前としては最後のオリジナルアルバム。過去にほとんど例のなかったメンバーの合作曲が多く、中には3人で1つの楽曲を手がけていたりするという驚きも。頭に位置するシングル曲の「YOU」や、続く比較的キャッチーでパワフルな「PHOENIX」は割と従来の像に近いけど、全体的には凄く簡素に削ぎ落とされたテクノ/ダブだったり、アンビエントな色で落ち着いた感じに統一されているし、遠藤遼一のボーカルも非常にゆったりとした歌いまわし。全体でも曲単位でも抑揚に乏しめで、4thの「MILLION MIRRORS」とはまた違った方向で聴く人を選びそうな作品。しかし単なる「実験的」の一言で終わらないこの姿勢には、実験とかポップとか、メンバー間の個性のぶつかり合いなどから離れ、何ものにも捉われない所で、極北的な精神で作られたような趣きを感じます。その後の経緯から考えても、恐らく制作の段階で後の活動休止は決まっていたのだろうけど、そうすると「遠くまで歩く/もうすぐに届く」と繰り返し歌われるラストの「ROMAN」も凄く心に響く。彼らに初めて触れる人にならもっと相応しい作品が他にあるだろうけど、これも聴くに従ってどんどん深みを増すアルバムだと思います。