MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

Ministry / Houses Of The Molé

Houses of the Mole

Houses of the Mole

 

 US出身のAl Jourgensenを中心としたインダストリアルバンドの9thアルバム。

 

 3rdアルバム以降、Al Jourgensenの片腕として共にバンドを支えたベーシスト・Paul Barkerが2004年に脱退。それに伴い、Al Jourgensenのワンマンプロジェクトとしての再出発となった本作ですが、その逆境が結果的にバネになったのか、また後期Ministryには欠かせなかったアンチ・ブッシュのコンセプトを展開し始めた作品ということもあってか、全体的にかつてのような高速/破壊的なインダストリアルスラッシュの作風が蘇っています。まさに圧倒的なパワー。アルバム中にブッシュ大統領の肉声のサンプリングがよく聴こえるようにもなりました。また、本作にはインダストリアルスラッシュの頂点に立った5th「Psalm 69」を彷彿とさせる場面が随所にみられ、過去の曲を意識して作られたであろう曲やフレーズも登場したり、隠しトラックに「Psalm 23」という曲が収録されていたり、全トラック数が69だったりします。他にも1曲目が「No W」で以降の曲名がすべて「W」で始まるなどの遊びが盛り込まれていたりして、何かと注目点も多い。ただ、賛否両論を起こした意欲作の6thや7thのエッセンスは還元されていないし(強いて言えば終盤の曲に若干)、目新しさもそうないので、Ministry的にはリハビリのような作品かも。