MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

fripSide / infinite synthesis

infinite synthesis(初回限定盤)(DVD付)

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 アニソン界のプロデューサー/キーボーディスト八木沼悟志(sat)によるユニットの通算6枚目となるアルバム。声優の南條愛乃をボーカリストに迎え、活動の場をメジャーレーベルに移した「第2期」としては1作目。

 

 TVアニメ「とある科学の超電磁砲」のテーマソングを連続で担当したことで脚光を浴びた彼ら。そのタイアップシングルの第1弾でありヒットを記録した「only my railgun」がfripSideという存在と音楽性を早くもこの上なく体現していたし、本作ではそれを1曲目に置くことで最高の掴みにも。アッパーなダンスビート、キラキラテカテカのシンセやSEをふんだんに重ね飾りつけられたバブリーなサウンド、間奏やアウトロで飛び出すギターソロ。そしてどこか艶のある南條愛乃の歌声から矢継ぎ早に発せられるベタにキャッチーなメロディ。この人力臭さを全く感じさせない享楽的なデジタルポップの突き詰め方からは、一種の職人気質のようなものを感じます。前任のボーカリストnaoがいた第1期はそれほど熱心に聴いてはいないのだけど、その活動を経てあらゆる意味で洗練されたのでしょう(sat曰く「実験の場」)。でも同時に何となく懐かしさも感じられるのは、satのセンスが小室哲哉系の影響を感じさせるからかも。個人的にはTWO-MIXを思い出したけど。それにしても前半に発表済みの楽曲をあえて固めるという構成に意味があるのか?というくらいに、どの曲も──それこそノリのいい曲からミドルナンバーまで同じ景色が広がるので、好き嫌いはかなりハッキリ分かれるだろうけど、この手の音が好きな人の需要にはバッチリ応えると思います。