MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

I've / verge

verge

verge

 

 北海道に拠点を置き、アニメ/ゲーム系の楽曲を中心に制作するクリエイターチームによるGIRLS COMPILATIONシリーズの第2弾(2000年)。

 

 オリジナル曲が6曲も収録され、全23曲2枚組の大ボリューム盤となった作品。白と黒のディスクに分けられている通り、それぞれのCDで提示される世界観は明確に違います。Disc1の方は前作「regret」をそのまま引き継いだような清涼感溢れるシンセポップ。さすがにラップパートは激減してるけど、それでもやはり時代を感じさせる青臭さがあります。でもそれが逆に初期I'veならではの「どさんこポップ」を体現しており悪くないですね。そこを、本作から全面的に本格参加した島みやえい子の圧倒的な存在感が全体を支えています。また、このシリーズ全体を通してほぼ本作にしか参加していない歌手MAKOの、I'veにおいては異色なソウルフルな歌声もトピックの1つ。それから、今となってはI'veよりKeyの曲という印象だけど、有名アニメ/ゲーム作品「AIR」のみならずアニソンファンに絶大な支持を受けた名曲「鳥の詩Lia)」の存在も圧巻。このDisc1だけでも十分な聴き応えがあるけど、Disc2はダークなトランスや重たい雰囲気の曲が多く並んでおり、新たなシリアスな聴き心地に惹き込まれます。中でも静謐でオリエンタルな曲を歌う島みやえい子には神々しさすら覚えるほど。初期の持ち味が良い形で引き継がれ、後へ繋がる新たな一面も大きく打ち出した。そんな表裏一体の魅力が存分に込められた充実作であり、同時に重要作でもあると思います。