MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

Godflesh / Selfless

Selfless

Selfless

 

 UK出身のインダストリアルメタル/ポストメタルバンドの3rdアルバム。

 

 圧倒的な存在感を見せつけた前作「Pure」とはまた少し違った意味で、ひとつの極致へ漕ぎ着けた感すら漂う傑作。ダンサブルに刻まれるリズムは一旦鳴りを潜め、平坦なビートにシンプルなアンサンブルが乗っかって反復されることで、重戦車が木々を薙ぎ倒しながら進むような圧迫感のあるスローへヴィネスが蔓延。インダストリアル/ドゥームの「ドゥーム」の部分にスポットが当たっていると言うべきか。1stEPの頃のサウンドに近い気もするけど、同じ無機質でもこちらの方がより荒廃的な情感が漂います。特にスローな曲やパートではそれが顕著で、「多幸感のないJesu」とでも形容できそうな救いのなさに打ちのめされること必至。中でもラスト2曲(ここだけで30分超)の流れは最大のハイライトで、もう絶望しか残ってない…という気分になれます。前作「Pure」だけでなくGodfleshの作品は漏れなく「インダストリアルメタル」という単語の本質の部分に相応しいと勝手に思っているけど、本作はサウンドだけではなく精神性にインダストリアルを感じるみたいなところがありますね。いずれにせよ、誰にも追いつけないところにある強烈な美学を感じさせる作品です。彼らの中では一番好きかも。