MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

VNV Nation "Futureperfect"

Futureperfect

Futureperfect

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 イングランド出身のフューチャーポップ/EBMユニットの4thアルバム(2002年)。

 

 この手のジャンルとしてはかなりのセールスを上げ、アメリカでも人気を獲得するきっかけになった作品らしいです。この頃に彼らやノルウェーの同系統ユニット・Apoptygma Berzerkが自分たちの音楽ジャンルを説明するために "フューチャーポップ" という単語を生み出したという話もあるくらいで、それだけこの界隈では代表的な作品と言えるのかも。ただ、彼らの音楽スタイルという観点ではむしろ表現の幅を広げており、シンフォニックなストリングスの出番の増加──というかそれのみで構成されたカラーの異なるインスト小品なども積極的に挟んだり、単純に四つ打ちではない非ダンス系ミドルチューンやピアノをフィーチャーしたオーケストラ色の強いバラードがあったりと、トータルで見た印象に変化を加えつつ起伏にも富んだ内容。一方で、初めてソフトウェアシンセのみに絞ったのも関係しているのか、シンセの音色はよりゴージャスになりプロダクションが向上し、それを生かした正統派フューチャーポップな楽曲に関しては、持ち前の物言わぬ省エネメロディの完璧な運びと、それに代わって主張するシンセの見事な対比もあって鉄壁の完成度。ただ、ダークな側面という大きな魅力が薄れた部分は賛否両論があったようだし、トランスやクラシックやアンビエントの要素が曲ごとにハッキリと表れている分、雑多だったり全体の流れを止めては戻してみたいな形になっている印象もあって、1曲1曲を見るととても良く出来ているというのは前提にしても、個人的な好みとしては前作と次作の方に軍配が上がります。