MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

The Devin Townsend Band "Accelerated Evolution"

Accelerated Evolution

Accelerated Evolution

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 カナダ出身のヘヴィメタルシーンのマルチミュージシャン/プロデューサー・Devin Townsendのソロ通算6作目、The Devin Townsend Band名義での初アルバム(2003年)。

 

 それまでのソロの延長線上のものとして、Strapping Young Ladのように固定化されたメンバーでのバンドプロジェクトを新たに発足。新鮮に取り組めるようにと自身のソロに関与した経験のない地元のメンバーを集めたとのことで、当然ドラマーもSYLや過去ソロ作に出ずっぱりだった盟友・Gene Hoglanではない人物。そんな新たな名義(一応)、新たな編成での心機一転となるアルバム。平たく言えばソロの前作「Terria」の延長とも言えるし、過去のソロの総決算とも言える内容で、壮大なプログレッシブパートを基調としながらも、その前後や隙間などにメロディアスな楽曲が差し込まれるという構成。メンバーは違えどDevin Townsendらしい広がりと清々しさのハードロック/メタルサウンドながらも、より "歌" を活かす演奏/アレンジに注力。プログレッシブ的というかスローだったり連作的な流れが強い場面もありつつも、1曲単位の作り込みや聴かせる演出、グッドメロディ、長すぎない尺というように聴きやすさにも過去イチで気が配られています。そうして丁寧に紡がれていく楽曲を掻き分け、最終曲にして大名曲「Slow Me Down」に繋がり全てが洗い流されていくような幕引きを迎える流れは本当に感動的!この無駄のなさと隙のなさは、新たな名義の一発目にして最高傑作と呼んで差し支えないほど。しかもこれがSYLの「SYL」と同時に制作されたというのも驚き。改めてとんでもない人だ。ちなみにSpecial Edition盤には「Project EKO」と題されたボーナスCDが付属。アンビエント/エレクトロニカのインストが3曲収められています。