MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

UNLIMITS TRANQUILIZER TOUR 2011

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 先日のUNLIMITSのツアーに参戦して参りました。地方の田舎町で引きこもりがちな生活を送っている管理人が、まさかライブの報告を書くことになるとは!長年ブログをやってりゃこんなこともあるんですねぇ。自分でビックリ。というわけで、自分のためにも、見たまま・感じたままを簡単に記しておこうと思います。


 初めにバンドについて知らない方に軽く説明を。UNLIMITSとは、東京を拠点に活動するメロディック・パンク/エモコア系バンド。2002年に結成され、2006年に現在の編成になり、2010年にSony Recordsよりメジャーデビュー。ギタリストを兼ねるメインボーカリストの清水葉子を軸に、女性ツインボーカル&男性ツインコーラスという体制。愚直なまでの「歌謡曲風」「哀愁」を重視するメロディとストレートなメッセージ性を孕んだ歌詞を何よりの武器とする、今時気持ちのいいくらい衒いのない純粋な魅力を放つバンド。そんな彼らがこんな地方まで来てくれるんだから、この機会は逃せない!ということで思い切って飛び込んでまいりました。

 ※曲目や曲順などには記憶違いが多分に含まれている可能性があります。

 会場は小さいこともあってほぼ満員状態。男女比は多分半々くらい。ボーカル&ギターの清水葉子さんは、アーティスト写真で見る分の倍は可愛いらしく見えました。ドラム&ボーカルの郡島陽子さんは金髪に近く、↑の写真よりだいぶ伸びているものの、それでも初見の人は一見すると女性とは気づかないかも(すいません)。でもえらい男前でした。マジで。

 ライブは、アルバム「トランキライザー」の1・2曲目とは逆の順番になる「偽りの世界」「ループ」の順番でスタート。アルバムのリードを担当する曲だけあって掴みにはこの上なく、最初からテンション高く突っ走るメンバー。でも会場はまだ最初だからかそれほどノリきれてない面もあり、それを察知したのか郡島さんが曲の間のチューニングの時に「遠慮しなくていいんだよ」と煽る。

 そのせいというだけでもないと思うけど、続く「シャットアウト」「さよならバタフライ」 の軽快な縦ノリが続くパートでは会場も少しずつノリノリに。どちらも大好きな曲なんだけど、特に「さよならバタフライ」はCDで初めて聴いた時にそのポップな新境地ぶりに驚きつつ、でもこの裏打ちのノリはライブだと映えるかもとか思っていたのが現実に。ここまでハマるとは。サビ→大サビのテンポチェンジの時とかヤバかった。

 印象的なアルペジオから「粉雪のメロディー」が始まり一転して聴かせるムードを作り出し、次は「α」で再び駆け抜ける。サビのダブルボーカルの掛け合いが奇麗に炸裂して曲のドラマチックさが2割増し!続いて奇妙なイントロから「暗闇ノイローゼ」。彼らの中でも異色のスタートを切るこの曲では、会場に今までにない緊張感が張り詰め空気が一変。清水さんもAメロは白目向いて歌ってるように見えて怖かった。サビで別の曲のように加速する部分に振り回される観客のテンションが面白かった。

 そして過去の名曲から「月アカリサイレース」!歌謡曲メロを究極まで追求したかのような哀愁のキラーチューン。曲名が宣言された時は歓喜しました。こればかりは CDで聴くよりずっとずっと良く聴こえ、何倍も刺さりました。照明もこの曲の時だけ黄色だったかな?観客の盛り上がりはここでグンと加速し前方ではモッシュが発生。続いては「クローバー」!おいおい代表曲連打ですか!殺す気ですか!ここではダイブも発生し、清水さんの前ではスタッフが必死に制圧。その清水さんは、今にも泣きそうな顔と声で振り絞るように懸命に歌っていて哀愁度が5割増し。汗で前方に垂れた髪が顔の半分を隠しながらも、それを意に介さず前を向いて弾き続けるベースの石島直和さんも印象的でした。

 終了してシーンとした中、清水さんがボソっとマイクの前で「…アマオト」と次の曲「雨音」を宣言。比較的控えめなアレンジで進む曲にしんみりと聴き入る観客。一気に爆音になだれ込む間奏をバックに語りを入れる清水さんは、まるで何かが降りているようにも見えた。その後、清水さんがアコギに持ち替え「道しるべ」。個人的には「トランキライザー」内で最も生で観てみたかった曲。三連符のポジティブなミディア ムナンバーで、一転して清水さんはものすごく晴れやかで明るい笑顔で歌っておりました。感動的。

 大団円と思いきや、ここで少しだけ長い MC。今回の東日本の震災のこと、その影響で延期・中止になってしまった公演への無念、また悲しい歌を歌うことに恐怖や抵抗を覚えてしまったことなどを、清水さんが涙を堪えながら語ります。しかし「それでもいつか私たちは、皆の想いが詰まったあの後ろの旗(ステージの上部に大々的に飾ってあるバンドロゴと今回のアルバムのアートワークでもあるユニコーンのイラストの入った巨大な旗)を持って必ず駆けつける」と決意を改めたことを強く宣言。そして観客にその旗へ想いを集めるように呼びかけ「ハロー」を演奏。「遠く遠くまで繋がっていく空/僕のこの声は届いていますか」この歌詞が図らずも今の状勢とシンクロし、まるで全国のファンの想いを届けるかのように演奏され、この日の曲の中で一番強く優しく会場に響く。ここまでは比較的静かにライブを観ていた一部の観客も、この曲のときは多くの人が手を旗に向けて掲げてたかな。

そしてラストスパート。アルバムのタイトルに込めた意味と想いを告げたMCの後に「まだいけるよね?」と会場を煽り、「蒼」「パズル」とアルバムでも終盤に位置するファストな王道チューンを披露。もう最後だからか、「ハロー」で気持ちをひとつにした効果か、それとも曲の持つパワーか。会場全体がこの日の中で最も一体化。ここで印象的だったのはギターの大月義隆さん。ここまで終始笑顔で観客に応えながら演奏を支えていた彼も、ギターソロの時はステージの真ん中で暴れまくる!カッコ良かった。最後に清水さんが「ありがとう!」とピックを投げ本編終了。

 アンコールではちょっとした笑いを呼ぶやり取りでリラックスし、そのまま最終曲の最初期の名曲「七色の記憶」へ。全身で曲を表現する清水さん。サビ前の「確かに小指を繋いでた/あの日/君と」のフレーズごとに人差し指を上へ掲げ、「指切り」のブレイクで上に掲げた指を小指にチェンジ。心が震える演出。最後の男性ボーカルパートで石島さんも爆発!

 そして賑やかに幕引き。とても良いライブでし た。清水さんは声そのものに大きな魅力があり、感情を訴えかけるように歌う。大月さんと石島さんは良きムードメーカー。郡島さんは見た目以上に男前。そして生で観るダブルボーカルの格好良さったらない。ハードに突っ走る曲と心に染み渡る曲のバランスも良く、今のバンドの魅力が存分に出ていたと思います。震災後いろいろと大変だっただろうけど、自粛ムードに負けずツアーを続け、素晴らしい音楽を届けてくれたことに感謝。