MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

Swans "Filth / Body To Body, Job To Job"

Filth/Body to Body, Job to Job

Filth/Body to Body, Job to Job

  • アーティスト:Swans
  • Young God
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 アメリカ/ニューヨーク出身のポストパンク/ノイズロックバンドの編集盤(2000年)。

 

  内容は1stアルバム「Filth」(1983年)と、1982~1985年の未発表曲を中心とした編集盤「Body To Body, Job To Job」(1991年)をカップリングしたもの。鉄板を殴りつけるような乱雑怪奇なリズムトラック、あてもなく浮遊するノイズギター、怨念めいたボーカルが織りなす悪夢のような轟音世界。後のインダストリアル、ドゥーム、ハードコアなど幅広いヘヴィミュージックへ影響を与えたとされる(初期)Swansの偉大にして最凶の第一歩目を聴くことができます。もの凄く圧倒されるけど、「Filth」はリリース当時の評価としてはあまり振るわなかったのだとか。この路線を更に重く遅く突き詰め、当初から評価されたという2作目「Cop」に比べると、こちらはまだガシャガシャとしたテンポ感があってほんのちょっとだけ聴きやすいとは思うけど…とはいえ、まるで地獄の淵を覗いているようなヤバい音楽に違いはないですが。「Filth」以外の楽曲にあたる未発表曲群は「Cop」以降に続くような重さと実験性を孕んだ轟音が垂れ流され、とにかく大音量で演奏されていたというライブの音源からは物々しさや殺気すらも漂い、この頃のSwansを深掘り・補完する作品として実に魅力的。とにかく強烈な音が合計2時間以上収録されているので、この手の音楽性に慣れていても一気に聴くのは少々骨ではあるけど、今もなおその衝撃は薄れることはない、時代を超えた存在感を確認できます。当の本人(Michael Gira)は、初期の音源を過剰に持ち上げる向きに対して複雑な感情があるようだけど…