スイス出身のインダストリアルバンドの4thアルバム。
前作で見出した方向性を更に推し進めた内容。と言ってもメタル色が濃くなったとかそういうことではなく（メタルギターの音圧はアップしているんだけど）、独特のリズムで進むビートや浮遊感を生み出すベースに加え、楽曲の背景で多重にアンビエントノイズを走らせることにより、不思議な音空間とスケール感が演出されています。楽曲の展開も通常の進行と完全なアンビエントパートとが入り乱れたりと先が読みづらい展開が巧妙に仕掛けてありながら、決して排他的ではなく、聴く者へしっかり訴えかける確固たる個性を確立させています。特に中心に位置する16分を超える大曲「Moon Revolutions」は、まさに彼らの独壇場。多くのインダストリアルバンドがメタル/ヘヴィロックへ走った時代に、アンビエント/ダブへ歩み寄り、誰も追いつけない作品を作り上げたという意味で、これは確実にオンリーワンなアルバムだと思います。
