灰羽連盟

 

 

天使の輪と飛ぶことの出来ない灰色の羽をもつ、人間でも天使でもない「灰羽」という存在と普通の人間が共存する架空の街を舞台にした物語。以前紹介した「serial experiments lain」「NieA_7」などに関わったイラストレーター・安倍吉俊が発表した同人誌をベースに制作されたもので、最初の放映はもう7年ほど前になりますが放送終了後も根強い人気を保ち続けている作品です。

円形の壁に囲まれた街からは誰も出ることができず、そこで暮らす灰羽たちには独特のしきたりやルールが存在し、前半は新たに繭の中から灰羽として生まれた少女・ラッカが少しずつそこに溶け込み馴染んでいく流れが描かれていますが、中盤にとある人物が灰羽として避けられない出来事を迎えてから展開が一変。突きつけられる灰羽の現実と謎、街を囲む壁の存在理由、失った過去の記憶と自分の存在意識を照らし合わせた葛藤など、あらゆる心理的・精神的なテーマが複雑に絡み合い、物語はその本質と核心へ進んでいきます。そして終盤にかけては、もう一人の主人公とも言える少女・レキの最後に待ち受けている運命を追うストーリーへ移行。深い感情が交錯し二転三転する最終回は涙なくしては観れません。

物語を成り立たせるための重要な設定はいくつもあるのだけれど、細かく言及されることはなく、あくまでそれらを前提とした上での人と人の関係性やそこから発生する感情・役割・贖罪などの描写が重んじてあり、独特な視点で心を揺さぶられるものがあります。作品全体が何かのメタファーを表しているようでもあり、その想像の余地が残されているところも作品の人気に繋がっているのかも知れません。どこか哲学的ですらあるけど決して敷居が高いわけでもなく、ただ単純に少女たちの精神的な成長の物語として捉えてもかなり楽しめると思います。

ヨーロッパの古き街並みのような街と雄大な自然が融合したような舞台、ビビッドになり過ぎないように色彩を抑えられた彩色、上品にまとまったBGMなど、その世界観を端々で支える要素も隅々まで行き届いていて非常に完成度の高い作品。少々暗かったり重かったり時に悲しかったりする場面もあるけど、心にガツンと響くものがあります。

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