MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

Velcra / Hadal

Hadal

Hadal

  • アーティスト:Velcra
  • Underarts
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 フィンランド出身のニューメタル/インダストリアルメタルバンドの3rdアルバム(2007年)。

 

 前作はあくまでも1作目をベースにした変化といった感じだったけど、3作目である本作は本質的に音楽的な転換を図ったというか、まるっきり違うバンドになろうとしているような印象を受けました。打ち込みのリズムトラックやノイジーなギターなど、一応インダストリアルメタルらしい骨格は所々で生きているものの、楽曲によってはメタル度ゼロに近かったりするし、全体的にも大幅にスローダウンし、ゴシカルな鍵盤の音が醸し出すダークで冷たい音世界をシンフォニックなストリングスが包み込み、Jessi Freyはラップ/シャウトを封印しウィスパー気味のボーカルで言葉を発していく…という。エレクトロゴシックやトリップホップといったジャンルに大きくアプローチをかけた野心作、といった趣。ブレイクビーツを取り入れた「Dead End Lane」「Quick And Dirty」あたりは目立つし分かりやすく格好いいけど、過去作がアグレッシブで一貫していたせいもあり、どうにも地味さが先行してしまうのは否めないところ。しかしインダストリアル色を残しながら作り込まれた新境地のサウンドからは、決して付け焼刃ではない完成度の高さも伺えます。個人的にも、最初は違和感があったけど今では結局1作目・2作目に負けないくらいお気に入りに。この路線でもう一枚くらいは聴いてみたかったけど、残念ながら彼らは2008年に解散してしまいました。