MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

Slipknot "All Hope Is Gone"

All Hope Is Gone

All Hope Is Gone

  • アーティスト:Slipknot
  • Roadrunner
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 アメリカ/アイオワ出身のニューメタル/オルタナティブメタルバンドの4thアルバム(2008年)。

 

 活動休止~各ソロ活動等を経て約4年ぶりの4作目。新調されたマスクをまとい音楽面も心機一転…とまではいかず、前作におけるギターソロや歌メロの強化といった方向性をさらに推し進めたような内容。狂気的な高速連打ドラミングと咆哮で突き進むマニフェストソングであれど、増大したギターソロの存在感はまるでボーカルに負けじと楽曲の中心を分捕り、また音色を聴かすように激しく主張せんばかり。一方で全体的に楽曲のタイプ問わずボーカルのシャウトは減り、勢い重視の楽曲でもクリーンがメインだったり、歌メロを押し出す楽曲だとサビに入ると曲の空気を変えるレベルで唐突な歌い上げに突入したりも。哀愁に満ちたメロディアスロック「Dead Memories」やダークで混沌とした曲中にファルセットが響く「Gehenna」なんかは良くも悪くもインパクトがあり、分かりやすく本作を象徴する楽曲かなと。パーカッションの一撃や軋みをあげるDJプレイ/エフェクト等、彼ららしく構築されたヘヴィサウンドは概ね健在ながらも、この辺りの変化をどう受け止めるかで評価は分かれそうなところ。個人的には振り下ろされるハンマーのようなタイトかつアグレッション満載のリズムとクールなサビメロの対照が印象的な「Psychosocial」、Slipknotたらしめている色んな暴力的要素が次々と折り重なるように聴き手を猛々しく襲うタイトル曲「All Hope Is Gone」が好き過ぎる(特に後者は本編ラストという曲順もまた良い)のもあるし、決して嫌いではない一枚。しかしこの後メンバーの急逝や脱退などもあり、黄金期とも言える布陣での作品は残念ながらここまでに。