MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

Dope "American Apathy"

American Apathy (Bonus CD) (Spec)

American Apathy (Bonus CD) (Spec)

  • アーティスト:Dope
  • Artemis Records
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 アメリカ/ニューヨーク出身のオルタナティブメタル/インダストリアルメタルバンドの4thアルバム(2005年)。

 

 初の海外ライブとなる来日公演も果たし、日本での人気や知名度も上昇する中でのリリース。大統領の演説のサンプリングが流れた後、間髪入れずに「Go home and die」の呟きと共に轟音が切り裂くというオープニングで幕が上がります。他にもタイトルやそこに用いられた「A」の文字が示す通り、当時のアメリカへの政治/風刺のメッセージを多分に含んだ一作のようです。大筋の方向性としては、よりシャープかつ強靭になったヘヴィネスを武器に、これまでになかったギターソロを取り入れ、並行して暴れながらアッパーな曲を中心に畳みかけてきます。ベーシストやドラマーといったリズム隊のメンバーチェンジを挟んではいるものの、すべての制作面に関わり取り仕切るEdsel Dopeと、その右腕的存在として楽曲制作も含め広く制作に関わるギタリスト・Virusの2人を中心とした体制に揺らぎはなく、その始まりだった前作をそのまま強化してきたという感じ。シングル化された「Always」やDepeche Modeのカバー「People Are People」といった美メロを聴かせる曲も存在するものの、メロ推しの2ndやアコースティック曲を挟んだ前作と比較すると全体の流れがやや単調に感じなくもないし、多数のボーナストラック(国内盤は9曲!)を含むのもその印象を加速させるけど、バンド自体の実力や風格、曲単位での見せ方なんかは向上しているし、過去曲の再テイクなども積極的に絡めるあたり、自信作という自負もあったのだろうし、それに恥じない作品になっているかと。