MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

KMFDM "Naïve"

Naive

Naive

  • アーティスト:KMFDM
  • Metropolis Records
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 ドイツ出身のインダストリアルバンドの4thアルバム(1990年)。

 

 収録曲中のサンプリングが著作権侵害に該当したことで一度絶版になってしまい、その約3年後に収録曲の一部に修正/再編集を加えた改訂盤「Naïve/Hell To Go」として(色違いジャケで)再リリースされたという逸話をもつ作品。2006年に発売されたリマスター盤では、原盤の内容に改訂盤用の楽曲を追加収録した全16曲入りの大盤振る舞い仕様に。長いので通すよりは聴き比べなど分けて聴くのがいいかも。さて内容ですが、バンドが1999年に一度解散するまでの間のサウンド構築に大きく貢献するギタリスト・Günter Schulzが本作より加入。それほど派手な使われ方ではないにしろロックなエレキギターが各所で大活躍。他にも主役に躍り出たかってくらい前面に出た女性コーラスと、喋るような声とはいえSascha KonietzkoやEn Eschがきちんと歌い通す男性ボーカルとの対比、四つ打ちやそれに準ずるノリのいいリズムのハネ感など、EBMにダブやファンクなどを組み込んだKMFDMらしいポップなインダストリアルダンスがもうほとんど出来上がっていることが伺えます。同時期にはMinistryとツアーを行ったりクラブシーンでヒット曲が生まれるなど、アメリカ進出が少しずつ進んでいた頃のようだけど、それも納得の充実具合。Adrian Sherwoodの手を離れつつも、ブレずに自力で自らの進むべき道を切り開いた一作といったところで、インダストリアルロックの古典としても聴き応えがあると思います。