MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

KMFDM Vs. PIG / Sin Sex & Salvation

 ドイツ出身のインダストリアルバンド・KMFDMと、イギリス出身のRaymond Wattsによるインダストリアルプロジェクト・PIGのスプリット盤(1994年)。

 

 インダストリアルロック界の大物の共演といった趣だけど、Raymond WattsはもともとKMFDMの結成~初期のメンバーでもあったのはファンには周知の事実であり、彼らが再び相まみえるのは実は約5年ぶり。今作をリリースした後はRaymond WattsがKMFDMのアルバム制作に再びちょこちょこ参加したりするようになったので、そのきっかけを作った作品と言えるのかも。リードトラック「Secret Skin」は、威風堂々としたギターリフを軸に置きどっしりと構えたインダストリアルハードロック。どちらかというとPIGっぽいかな。セカセカしない余裕と2人のボーカルのコントラストがイケてます。シンセベースの浮遊感と4つ打ちのスピード感が心地よいロック寄りEBM「Fuck Me」も、続くファンク色の強いクールナンバー「Rape Robbery & Violence」も期待を裏切らない両名の良いとこどりな佳曲。そして全体に通じる官能的な空気感は、やっぱり他のバンドではなかなか出ない味。この作品をリリースした後、KMFDMは「Nihil」、PIGは「Sinsation」と音楽性を進めた傑作をリリースしているので、それぞれの創作の刺激にもなったとすると本作の意義は大きかったのではないかと。