MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

BUCK-TICK / darker than darkness -style 93-

 5人組ロックバンドの7thアルバム(1993年)。

 

 前オリジナル作「狂った太陽」から数えると約2年半振りとなった作品で、そちらに負けじとこちらを最高傑作と評するコアファンも多いかも。「殺シノ調ベ」で一区切りをつけたのか、バラエティ豊かに彩られた音色と距離を置き、"暗闇の向こう"というタイトルを体現するドッシリと重たく薄汚れたようなサウンドに統一。その上で、ダブ/レゲエの「キラメキの中で…」のもったりとしたオープニングが挑戦的でまず驚くし、その後もジャズのスウィングするグルーヴや、メタルに通ずる轟音など、また異なるジャンルを血肉化して新たな一歩を踏み出していることも伺えます。そしてラストの「die」ではアコースティックギターとフィードバックギターの対比が死へ向かう"恐怖"と"悲哀"だけでなく、諦めにも似た"歓喜"が入り混じり混沌とした感情を見事に描き切り、最後にノイズが荒れ狂うことによる"昇天"の表現にも度肝を抜かされ、93トラック目に隠された「D・T・D」で"転生"に帰結するというコンセプトにも脱帽!とても1993年作品とは思えない完成度を誇るし、「狂った太陽」とも違う方向での魅力に溢れているというのも納得。この作品の影響下にありながら、その影すらも踏めてないバンドも多そう。