スイス出身のEBM/インダストリアルロックユニットの1stアルバム（1990年）。
サンプラー/プログラマー・STRとボーカリスト・Ane H.による2人組。本作以前にはギタリストも在籍していたけど脱退した模様。彼らはインダストリアルロックにカテゴライズされる傾向にあるけど、根幹はEBMに近似した強力かつ手数の多い打ち込みをドーンと中心に構え、ラップのようにリズミカルに言葉を発していくダミ声ボーカルとターンテーブルのスクラッチ音/効果音といったヒップホップ要素をブレンドし、とにかくリズムを聴け！ノれ！といった感じのスタイル。そこにサンプリングのスラッシュギターを連打し全体の勢いを加速させているところがインダストリアルロック的と言えるんだけど、総体としてはMinistry以降の汎インダストリアルロックとは異なる音楽性で、個人的にはむしろMeat Beat ManifestoやThe Young Godsなんかに近いものがあると感じます。曲数の多さやサンプリングをこねくり回すインパクトの薄い曲の存在でちょっと間延びするけど、情報量の少なさを活かした潔さと瞬発力、反復を繰り返すサウンドから漂う "作りもの感" ＝インダストリアルダンスならではの質感とノリ、そういったものを他のバンドにはあまりない独自の色として打ち出し、本作の時点で一定のオリジナリティに昇華しているのは、1stアルバムであること、1990年作品ということを考えると結構凄いかも。
