MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

Skold / Skold

Skold

Skold

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 スウェーデン出身のインダストリアルロックシーンのマルチミュージシャン/プロデューサー・Tim Skoldによるソロプロジェクトの1stアルバム(1996年)。

 

 ヘヴィメタルバンド・Shotgun Messiahの解散後にソロキャリアをスタートさせ、歌や作曲だけでなく演奏も全て自らによって制作されたデビュー作であり、まさに名実ともにセルフ作と言える一作。バンド時代の最終作「Violent New Breed」でフラストレーションにまかせ思いきりインダストリアルなHR/HMに振り切ったその流れを引き継いだかのような激しい楽曲もありつつ、パンキッシュでノリのいい曲やメランコリックな歌モノ曲、抑制の効いたオルタナティブメタルにエレクトロ主体のダンサブル曲など、一つの方向性に終始せず、自らの可能性やこれからの道筋を模索するかのように拡散された音楽性を提示。その上で、全体的に以降の彼の持ち味としてお馴染みとなる "哀愁のメロディ" を活かすようなダークな作風だったり、ノイジーなエフェクトや金属音を巧みに使い分けるインダストリアルロックへの本格的な傾倒により、聴きやすさ、メリハリ、楽曲の良さ、統一感などあらゆる方向へ気が配られた完成度の高い一枚になっているかと。このすぐ後に加入するKMFDMで生み出した名曲「Anarchy」を始めとした数々の楽曲や、後のソロキャリア、更には深く関わることになるMarilyn Mansonなどでの様々な活躍へ繋がることが想像できるような序章的内容でもあるし、それこそNine Inch NailsやPIGといった先達にも引けを取らない名作だと思います。入手難易度が高いのが残念。